633. 心因性視覚障害とは

こんにちは。池袋サンシャイン通り眼科診療所です。

 

花の盛りもあわただしく去り、いよいよ春も深まってまいりました。
皆様いかがお過ごしでしょうか?
今回のテーマは「心因性視覚障害とは」です。

 

現代の様々なストレスを感じる社会では、ストレスによる心理的な影響や身体への障害が起きることがあります。
日常生活における心理的あるいは社会的なストレスが原因で、からだのどこかに症状がおきてくる病気を心身症といい、
その症状が目に表れるものを「眼心身症」と呼びます。
今号では、そのうちの一つである「心因性視覚障害」について、お伝えいたします。

 

心因性視覚障害とは
心因性視覚障害とは、心理的、あるいは精神的なストレスが原因となり、眼自体には疾患がないのにも関わらず、
視力や視野の視機能が障害されている状態のことを指します。視力障害が最も多いですが、
そのほか視野の異常や色覚の異常、暗いところで物が見えない夜盲の症状を伴うこともあります。
発症は7~12歳の女児に多く、男児の約2倍と言われており、眼自体に疾患はありませんが、
視力が出ないことを心因性視覚障害といいます。

 

視野検査では、検査中にらせん状に視野がどんどん狭くなっていく「らせん状視野」、
視野全体が狭くなる「求心性視野狭窄」といった異常がみられる場合があります。
視力測定を行うと、そのたびに視力が変化し、低下していきます。通常の近視や遠視・乱視と違い、
レンズを用いた屈折検査を行っても視力が向上しません。主に両眼にみられ眼科的に角膜や水晶体、
網膜その他全般の観察を行っても異常を認めないのが特徴です。

 

【どのような原因で起こるのか】
心理的ストレスで精神的葛藤、欲求不満などが原因となることもありますが、
普段は良く見えているのに、視力検査をすると見えなくなってしまうこともあります。

原因の背景は人によって非常に様々で、家族との関係や、友人や先生との関係に悩んでいる場合、
宿題や習い事などが負担になっている場合、
また、眼鏡をかけたいというメガネ願望が原因となっている場合もあります。

 

 

【治療】
治療としては、原因となっている心理的ストレスを取り除くことが第一です。
眼球に異常はありませんが、何らかの問題を抱えているのだということを、
家族を含めた周囲の人々が理解し、協力していくことが不可欠です。
少しの環境変化で視力が出るようになることもありますので、子供の場合、
学校の担任の先生などと連絡をとりながら、長期的に経過をみることも必要です。
またメガネ願望の子どもには、"度のないメガネ"を一時的にかけてもらうこともあります。
一般には内服薬などは使いませんが、子どもの不安が強いときには、薬剤を使用することもあります。

 

子どもの心因性視力障害の治療は、親子一緒に受けることが必要です。
眼科的には異常がないので、必ず良くなります。
治療にあたっては、医師を信頼してください。


•一般の方向けですので医学用語は必ずしも厳密ではありません。
•無断での記事転載はご遠慮ください。
•本文の内容は一般論の概括的記述ですので、個々人の診断治療には必ずしも当てはまりません。
※すでに治療中の方は主治医の判断を優先してください。

 

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