632. 結膜炎の種類
こんにちは、池袋サンシャイン通り眼科診療所です。
春風が心地よい季節となりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
今回のテーマは「結膜炎の種類」です。
●結膜炎とは?
結膜炎は、白目とまぶたの裏側を覆っている半透明な膜(結膜)が、赤く充血して炎症を起す病気です。
結膜炎は、主に「アレルギー性結膜炎」「細菌性結膜炎」「ウイルス性結膜炎」の3つに分けられます。
また、結膜炎には人にうつらない非感染性と人にうつる感染性とがあります。
「アレルギー性結膜炎」→非感染性
ハウスダストやダニや花粉などの、ある特定の物質に対して過敏に身体が反応することで起こります。
アレルギー性結膜炎は一年を通して起こる場合と(通年性)、ある季節にだけ起こる場合(季節性)があります。
〇春季カタル(春から夏にかけて悪化しやすく、アトピー体質の子どもがなりやすい病気です)
〇巨大乳頭結膜炎(コンタクトレンズ、義眼、手術縫合糸などの刺激によって引き起こされる結膜炎です)
〇アトピー性角結膜炎(アトピー性皮膚炎に合併して起こる慢性角結膜炎です)
〇乾性角結膜炎(いわゆるドライアイで、目の表面の涙や粘膜に異常が起き、乾きや痛みなどの症状が出ます)
「細菌性結膜炎」→感染性
黄色ぶどう球菌、表皮ぶどう球菌など、おもに身のまわりに存在している細菌に感染して起こります。
〇クラミジア結膜炎(封入体(ふうにゅうたい)性結膜炎)
クラミジアトラコマティスに感染して起こる結膜炎で、昔は「トラコーマ」と呼ばれていました。
性交渉によって感染する性感染症のひとつです。また、赤ちゃんが母親の産道を通ることで起こります。
そのため、パートナーも感染している可能性が高く、検査を促すことが大切です。
「ウイルス性結膜炎」→感染性
ウイルスが原因で起こる結膜炎です。ウイルスが繁殖しやすい夏場に流行しやすいですが、
1年を通して感染する可能性はあります。
〇流行性角結膜炎(はやり目)
アデノウイルス8型(ほかに19型など)という感染力の強いウイルスが原因で、
ウイルスに感染して1~2週間の潜伏期間を経てから発病します。
〇咽頭結膜熱(プール熱)
アデノウイルス(3型や4型など)に感染することで起こります。
夏にプールに行った子どもが感染することが多く、熱を伴うので「プール熱」とも呼ばれています。
〇急性出血性結膜炎
主にエンテロウイルス70型とコクサッキーウイルスA24変異株が目に感染することで起こります。
症状は急性で、充血、目やに、ゴロゴロ感などがあらわれ、よく白目に出血がみられます。
〇ヘルペス性結膜炎
単純ヘルペスウイルスが目に感染することで起こります。
感染力は弱く、あまり他人にうつることはありませんが、角膜ヘルペスを合併することもあります。
※新型コロナウイルスと結膜炎について
新型コロナウイルスの感染経路は以下の二つです
①飛沫感染
感染者の飛沫(くしゃみ、咳、つば など)と一緒にウイルスが放出され、
他者がそのウイルスを口や鼻から吸い込んで感染します。人の多く集まる場所では注意が必要です。マスクを着用しましょう。
②接触感染
感染者がくしゃみや咳を手で押さえた後、その手で周りの物に触れるとウイルスが付きます。
他者がその物を触るとウイルスが手に付着し、その手で口や鼻を触って粘膜から感染します。
まめに手洗い・手指消毒をしましょう。
症状は発熱、せき・息切れ、強いだるさ(倦怠感)、味覚障害などがあります。
日本眼科学会によると、新型コロナウイルスは口や鼻といった上気道の粘膜から感染しますが、
目の粘膜組織である「結膜」からも感染する可能性があるとしています。
くしゃみなどで新型コロナウイルスが目に入った場合、初期症状として結膜炎を起こす可能性があります。
人に感染しやすいアデノウイルス(いわゆる流行性角結膜炎)は簡易な診断キットがありますが、
現状でコロナウイルスを診断する検査キットは眼科的にはありません。
発熱、呼吸器症状がなく、結膜炎のみの症状(目やに、充血)で所見も結膜炎と思っていても
実は新型コロナウイルスに感染していたことが、後日にわかる可能性があります。
海外渡航歴やコロナ患者との濃厚接触歴が明らかであり、37.2以上の熱があり、かつ結膜炎の症状を
きたした方は、まず最寄りの保健所に相談してください。
当院での新型コロナウイルス感染対策としてこちらもご確認いただき、ご理解ご協力をお願いしております。
●上記は一般的な説明です。症状が気になる方は受診の上、医師に相談してください。
●一般の方向けですので医学用語が必ずしも厳密ではありません。
●無断での記事転載はご遠慮ください。
●本文の内容は一般論の概括的記述ですので、個々人の診断治療には必ずしも当てはまりません。
※すでに治療中の方は主治医の判断を優先してください。
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院長: 堀 好子
(日本眼科学会認定 眼科専門医 医学博士)所属学会:日本眼科学会会員、日本眼科医会会員、日本角膜学会、 日本眼科手術学会、日本眼内レンズ屈折手術学会
経歴 昭和61年 岩手医科医学部 卒
平成2年 岩手医科大学大学院 卒平成3年 岩手県立大船渡病院 眼科医長
平成5年 岩手医科大学眼科助手
平成5年 ハーバード大学スケペンス眼研究所勤務
平成9年1月 東京歯科大学眼科勤務
平成9年6月 南青山アイクリニック勤務
平成20年 東京歯科大学市川総合病院勤務平成22年4月~ 池袋サンシャイン通り眼科診療所 管理医師就任
主な論文 The three-dimensional organization of collagen fibrils in the human cornea and sclera.(旧姓Komai)
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常勤: 新川 恭浩
(日本眼科学会認定 眼科専門医)所属学会:日本眼科学会、日本白内障屈折矯正手術学会、日本網膜硝子体学会、日本眼科手術学会
経歴 平成13年 熊本大学医学部 卒
平成14年 京都大学医学部 眼科学教室入局
平成14年 島田市立島田市民病院 勤務
平成20年 高松赤十字病院 勤務
平成22年 公益財団法人田附興風会 北野病院 勤務
平成26年10月~ 池袋サンシャイン通り眼科診療所 勤務 -
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