392.高血圧と眼科の関係

こんにちは。池袋サンシャイン通り眼科診療所です。

暑くなってまいりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
今週のテーマは「高血圧と眼科の関係」です。

 
高血圧とは
血管が細くなったり、血流量が多くなったりすることで、血管壁に過剰な圧力がかかっている状態です。
心臓が収縮して血液を送り出した瞬間の血圧(=収縮期血圧)が140以上、
そしてその後心臓が広がる時の血圧(=拡張期血圧)が90以上、どちらかの血圧が高いと高血圧といいます。

高血圧眼底
高血圧がおこると、全身の動脈の緊張が高まると血圧が上がり、眼底の動脈が細くなったりくびれたりします。
この変化の軽い場合を高血圧性眼底といい、変化の度合いがひどく、網膜に出血や白斑、
むくみが現れる場合を高血圧性網膜症といいます。
本人の自覚症状はほとんど無く、目にはなんの異常も感じないことが多いのですが、
眼底検査をすると高血圧の程度にしたがって、様々な変化がみられます。
高血圧性眼底で、もっともよくみられる変化は、網膜の動脈の所々が細くなったり、
あるいは全体に細くなったりします。病状がさらに進むと網膜の出血や、白い斑点、むくみなどが現れます。
きわめて悪化した場合には、視神経乳頭に浮腫を生じます。

また、高血圧になると動脈硬化が起こってきます。眼底検査によってこの動脈の硬化の度合いを見ます。
動脈血管の壁の厚さ具合を見る血柱反射の亢進や、動脈と静脈が交叉している部分での
静脈の変化を見る動静脈交叉現象から判断をします。


主な検査

  • 視力検査
  • 眼底検査 眼薬をさして瞳孔を開き、網膜を詳しく観察します。


治療

高血圧性網膜症が進行し、網膜に虚血部位や新生血管が生じた増殖網膜症には、
新生血管発生の抑制、硝子体出血の予防を目的に、レーザー光凝固術を施します。
黄斑に浮腫が起きて視力が低下した場合には、浮腫改善効果のある薬物(抗VEGF薬)を
直接眼内に注射することもあります。ただ、薬剤の種類によってはもともとある高血圧自体に
悪影響を及ぼす恐れもありますので、その選択は慎重に行う必要があります。
さらに、硝子体出血や網膜剥離が起きてしまった場合には、硝子体手術により硝子体の透明化、
網膜の剥離部分の復位を行い、視力の回復をめざします。
自覚症状がでる頃にはかなり進行している場合があります。症状の進行を見逃さないために、
定期検査を受けるようにしてください。

 

 

 

  • 一般の方向けですので医学用語は必ずしも厳密ではありません。
    ●無断での記事転載はご遠慮ください。
    ●本文の内容は一般論の概括的記述ですので、個々人の診断治療には必ずしも
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