335.網膜剥離の手術方法
こんにちは。
池袋サンシャイン通り眼科診療所です。
もうすく夏本番ですね。夏バテには十分気をつけましょう。
今週のテーマは『網膜剥離の手術方法』についてです。
・網膜剥離とは
網膜が眼底から剥がれてしまう病気です。正確にいうと網膜は感覚網膜という光を感じとる層と、
その土台となっている色素上皮と呼ばれる層があり、感覚網膜が色素上皮から剥がれるのが網膜剥離です。
<裂け目ができている場合>
網膜にできた裂け目を塞ぐ処置には「光凝固法」があります。瞳孔から網膜の穴にレーザーを照射して焼き付けます。
この処置を行うと、裂け目の周囲の網膜とその下の組織がくっつくため、網膜が剥がれにくくなります。
<網膜がすでに剥がれている場合>
すでに網膜剥離が認められる場合には、剥がれた網膜を元の位置に固定する必要があります。
そのための手術には、「硝子体手術」や「強膜バックリング法」などがあり、網膜剥離の症状に応じて対応が異なります。
①強膜バックリングによる網膜復位術
網膜の外の組織(強膜)を目の内側に向けて凹ませて、剥離した網膜を色素上皮に近づけ、硝子体のひっぱりをゆるめます。
そのためにまず、網膜裂孔に対応する眼球の外側にシリコンスポンジを縫いつけて、眼球を内側に凹ませます。
そして、網膜裂孔のまわりを凝固してふさぎます。凝固には冷凍凝固や熱凝固、網膜光凝固などを利用します。
網膜の下にたまった液体が多い場合には、強膜側から針のような穴をあけて外に出します。
網膜裂孔の状態によっては、硝子体内にきれいな気体を注入して、裂孔部を硝子体側からふさぐことがあります
(硝子体ガス注入術)。注入した気体は自然に吸収されますが、それまでうつ伏せ姿勢などの体位制限が必要となります。
②硝子体手術
網膜剥離の程度や裂孔の位置によっては、網膜裂孔の原因となった硝子体のひっぱりを直接とる
硝子体手術をすることがあります。とくに硝子体出血を合併していたり、裂孔が大きかったり、
網膜剥離が進行して増殖膜を合併(増殖性硝子体網膜症)している場合に有用になります。
図7のように硝子体内に精巧な器具を挿入して(通常3か所から)、硝子体や網膜をひっぱっている膜状組織を除去します。
続いて硝子体内に気体を注入して、剥がれた壁紙を壁に戻すように、剥離した網膜を気体で網膜色素上皮側におしつけます。
目のなかには、絶えず新しい水分(房水)がつくられていて、その液体に浮いた気体の浮力で網膜裂孔をふさぎます。
網膜裂孔は手術中に凝固しますが、凝固部位が瘢痕化するには約1週間かかり、
それまでうつぶせ姿勢などの体位制限が必要となります。
- 上記は一般的な説明です。症状が気になる方は受診の上、医師に相談して下さい。
●一般の方向けですので医学用語は必ずしも厳密ではありません。
●無断での記事転載はご遠慮ください。
●本文の内容は一般論の概括的記述ですので、個々人の診断治療には必ずしも当てはまりません。
※すでに治療中の方は主治医の判断を優先してください。
-
院長: 堀 好子
(日本眼科学会認定 眼科専門医 医学博士)所属学会:日本眼科学会会員、日本眼科医会会員、日本角膜学会、 日本眼科手術学会、日本眼内レンズ屈折手術学会
経歴 昭和61年 岩手医科医学部 卒
平成2年 岩手医科大学大学院 卒平成3年 岩手県立大船渡病院 眼科医長
平成5年 岩手医科大学眼科助手
平成5年 ハーバード大学スケペンス眼研究所勤務
平成9年1月 東京歯科大学眼科勤務
平成9年6月 南青山アイクリニック勤務
平成20年 東京歯科大学市川総合病院勤務平成22年4月~ 池袋サンシャイン通り眼科診療所 管理医師就任
主な論文 The three-dimensional organization of collagen fibrils in the human cornea and sclera.(旧姓Komai)
-
初めての方でもご予約できます。
-
常勤: 新川 恭浩
(日本眼科学会認定 眼科専門医)所属学会:日本眼科学会、日本白内障屈折矯正手術学会、日本網膜硝子体学会、日本眼科手術学会
経歴 平成13年 熊本大学医学部 卒
平成14年 京都大学医学部 眼科学教室入局
平成14年 島田市立島田市民病院 勤務
平成20年 高松赤十字病院 勤務
平成22年 公益財団法人田附興風会 北野病院 勤務
平成26年10月~ 池袋サンシャイン通り眼科診療所 勤務 -
初めての方でもご予約できます。