292.眼科で処方していないコンタクトレンズに関する眼のトラブル
こんにちは。池袋サンシャイン通り眼科診療所です。
暑い日が続いておりますが、皆様いかが、お過ごしでしょうか。
今週のテーマは
「眼科で処方していないコンタクトが原因の目のトラブルについて」
です。
1.眼科で処方していないコンタクトとは
コンタクトは、眼科医の処方が必要な「高度管理医療機器」として扱われているものと、処方が不要な「雑貨(おしゃれ用カラーコンタクトレンズ)」として扱われているものの、2種類に分類されます。雑貨であるおしゃれ用カラーコンタクトレンズは、着色されていない透明なコンタクトレンズでも起こるケア不足や取り扱いの不注意に加え、素材品質問題(酸素の透過性が低い)、色素の流出、破損や粗悪な成型などの良質ではない製品によるトラブルなどがあります。
平成26年5月22日、国民生活センターは、カラーコンタクトレンズ(カラコン)について、「通常のコンタクトより、目に障害を起こしやすい商品が多い」との実験結果を公表しました。 眼科医の診察を受けずに通信販売で買う人が多くおり、センターは「必ず医師の処方を受け、異常を感じたらすぐ使用をやめて」と呼び掛けています。 国民生活センターの行った実験によると、市販のカラコン16商品を10人が8時間装着し、目への影響を実験し、一部の人に角膜の傷やむくみなど、治療や使用中止が必要な程度の重い障害が発生したとのことです。
(国民生活センターの報道発表資料http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20140522_1.pdf)
2.カラーコンタクト使用者に多い目の病気
■角膜びらん
角膜の表面には、角膜を保護し、涙の層を健全に保つための5層に重なる上皮細胞があります。このうち上層の細胞がとれた状態になって細菌等が進入してしまった状態です。
■角膜潰瘍
角膜の表面の上皮がめくれる角膜びらんとは異なり、その奥の角膜実質にも、濁ったり薄くなったりといった影響が出ている場合を角膜潰瘍と言います。角膜の病気としてはかなり重症で、すぐに治療をしなければなりません。
■角膜血管新生
物を見るときにカメラのフィルターとして働く「角膜」。その角膜には本来血管はありません。しかし、慢性的な角膜の酸素不足により角膜周辺部から中央部(黒目部分)にまで向かって血管が伸びてきた状態です。
■角膜内皮〈ないひ〉障害
角膜の一番内側の層を内皮といいます。内皮は細胞一層で形成されていて、細胞数が減少すると細胞が欠けたスペースを一つ一つの細胞が大きくなって埋め、細胞は増殖したり再生することはありません。細胞数が1500個以下になると眼内手術後のトラブルが増加し、1000個以下になると眼内手術が受けられないこともあります。700個以下になると失明の危険があります。原因となるのはコンタクトレンズによる慢性の酸素不足です。コンタクトをつけている時間や年数が長い人は、注意が必要です。
正常な角膜内皮細胞 減少した角膜内皮細胞
3.トラブルを防ぐには
カラーコンタクトレンズは、着色されていない透明なコンタクトレンズに比べて、眼障害の発生率が高いことが報告されているので、あまり薦められるものではありません。
しかしながらどうしてもカラーコンタクトを使用するのであれば、処方箋を必要とする高度管理医療機器のカラーコンタクトレンズを使用しましょう。
高度管理医療機器であるコンタクトレンズは品質保証体制の設備が確立されたメーカーにより製造されています。そして処方箋には、処方されたレンズデータ(ベースカーブ・度数など)により目の形状に合うレンズを特定しますし、装用者の眼のコンディションを確認した病院や医師の名前も表記されます。
カラーコンタクトを使用する場合は、通常は透明なコンタクトレンズあるいは眼鏡を併用し、カラーコンタクトは必要なときに使用する、それもなるべく短時間に限って使用するようにしましょう。
大切な眼を守るためにも、適切な選択と行動をしましょう。
●一般の方向けですので医学用語は必ずしも厳密ではありません。
●無断での記事転載はご遠慮ください。
●本文の内容は一般論の概括的記述ですので、個々人の診断治療には必ずしも当てはまりません。
※ すでに治療中の方は主治医の判断を優先してください。
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院長: 堀 好子
(日本眼科学会認定 眼科専門医 医学博士)所属学会:日本眼科学会会員、日本眼科医会会員、日本角膜学会、 日本眼科手術学会、日本眼内レンズ屈折手術学会
経歴 昭和61年 岩手医科医学部 卒
平成2年 岩手医科大学大学院 卒平成3年 岩手県立大船渡病院 眼科医長
平成5年 岩手医科大学眼科助手
平成5年 ハーバード大学スケペンス眼研究所勤務
平成9年1月 東京歯科大学眼科勤務
平成9年6月 南青山アイクリニック勤務
平成20年 東京歯科大学市川総合病院勤務平成22年4月~ 池袋サンシャイン通り眼科診療所 管理医師就任
主な論文 The three-dimensional organization of collagen fibrils in the human cornea and sclera.(旧姓Komai)
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常勤: 新川 恭浩
(日本眼科学会認定 眼科専門医)所属学会:日本眼科学会、日本白内障屈折矯正手術学会、日本網膜硝子体学会、日本眼科手術学会
経歴 平成13年 熊本大学医学部 卒
平成14年 京都大学医学部 眼科学教室入局
平成14年 島田市立島田市民病院 勤務
平成20年 高松赤十字病院 勤務
平成22年 公益財団法人田附興風会 北野病院 勤務
平成26年10月~ 池袋サンシャイン通り眼科診療所 勤務 -
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