208.緑内障とは
こんにちは、池袋サンシャイン通り眼科診療所です。
寒さが目立ち始める季節になりました。
上着を持ち歩くなどして、気温の変化にご注意下さい。
さて、今週のテーマは「緑内障」です。
緑内障とは・・・
緑内障とは、何らかの原因で視神経が障害され視野(見える範囲)が狭くなる病気です。
眼圧の上昇がその病因の一つと言われていますが、
眼圧が正常(10-20mg)であるのに、緑内障と同じ症状が生じる正常圧緑内障が緑内障全体の半分を占めていることからもわかるように、
緑内障の原因はまだよくわかっていません。
まずは当院で行っている緑内障検査及び治療、また緑内障の手術についてご説明します。
1.検査内容について
当院では緑内障の患者様に対して下記の検査を行っております。
① 眼圧検査
眼圧(目の堅さ)を測定します。
② 眼底検査
検眼鏡を通じて主に視神経や網膜を観察する検査です。
③ 視野検査
■ ハンフリー視野検査
視野計の内側に顔を固定して中心のマークを見つめ、周辺に出現する小さな光が見えたら、手に持っているブザーを鳴らして、
主に視線の中心およびその周辺の感度をお調べします。片目ずつ行ない、両目の検査が終わるまでに30分くらいかかります。
緑内障、網膜疾患などの早期発見、検査に必要です。
■ ゴールドマン視野計
視野計は見えている範囲と感度を検査する視野計です。中心の固視灯を見ていただいた状態で、
周辺から中心へ光を近づけて、見える範囲をお調べします。
■ FDTスクリーナー
緑内障の疑いを簡単に判別する検査に用います。
OCT Triton(3次元眼底像撮影装置)
OCT(Optical Coherence Tomography: 光干渉断層計/シラスHD-OCT)とは、網膜(カメラで例えるとフィルムにあたる部分)の断層画像を撮影する検査です。
2.薬物療法について
眼圧を下げるために使われる薬は、主に房水の産出量を減らしたり、房水の流れをよくする薬です。
まず点眼薬からはじめ、最初は1種類の薬で様子を見ながら、途中で薬を変更したり、また2~3種類を併用することもあります。
急性緑内障の場合や薬物療法で眼圧コントロールが不十分な場合、レーザー治療や手術を行います。
代表的な緑内障の治療に用いられる点眼薬の種類として
交感神経遮断薬…交感神経β受容体を遮断する効果を持ち、涙に触れると膜を作って長く効くため、1日1回の点眼で大丈夫です。
血管に対する副作用が少ないものもあります。
交換神経刺激薬…感神経α1受容体遮断作用により房水の流出を促進し、眼圧を下げます。
プロスタグランジン関連薬…視神経保護作用と眼血流量増加作用により、正常眼圧緑内障をはじめとする緑内障および
高眼圧症の患者さんの視野を長期に維持する優れた治療効果が認められています。
また水流出経路からの流出を促進することにより、眼圧を下げます。
炭酸脱水酵素阻害薬…房水とよばれる目の中の液の産生に関係する酵素(炭酸脱水酵素)を阻害し、
房水の産生を減らすことにより、目の中の圧力(眼圧)を下げ、視野の悪化を抑えます。
通常、緑内障、高眼圧症の治療に用いられます。
3.レーザー治療について
レーザーを虹彩にあてて穴を開けたり、線維柱帯にあてて房水の流出を促進します。
比較的安全で痛みもなく、入院の必要もありません。
・レーザーイリドトミー
虹彩に穴をあけるレーザー手術です。これで前房水と後房水が通じます。隅角の閉塞による急性発作を静める効果がありますので閉塞隅角緑内障治療に使用され、発作を予防する効果もあります。
・レーザートラベキュロプラステイ
開放隅角の場合に施術可能で、隅角にレーザー照射をするとメッシュ構造が開き房水の排出率がよくなります。この術式はちょっとづつ小分けにして施行することができるので半分行って、下がり具合をみてから、もう半分などと計画的に行うこともあります。
4.手術について
・トラベクロトミー
線維柱帯を切開することで房水の出を良くする手術です。
術後の感染が起こりづらいのですが、長期的には効果がなくなってくる場合が多いです。
・トラベクレクトミー
目の外から穴をあけて、房水を持続的に外に出すことにより眼圧を下げる手術です。
眼圧がよく下がりますが、感染が起こりやすくなること、効果がなくなることがあります。
次に患者様によって必要になる3ヶ月に1度の定期健診や半年や1年に1度に定期健診を行う必要性について説明します。
定期検査の必要性について
緑内障は自覚症状のないまま進行することが多いです。
緑内障の疑いがあると言われたことのない方でも40歳以上を過ぎたら1年に1回は必ず眼科で検査を受けることをおすすめしております。
緑内障と診断され、すでに治療を行なっている患者様に対しては、どのようなタイプの緑内障でも、眼圧を下げることは視野障害の進行を予防する効果が期待できますので、治療は点眼薬や必要であれば手術なども視野に含めて、眼圧を長期にわたって安定的に下げることを目標にします。
また、緑内障には慢性のものが多く、その通院・治療はほぼ一生にわたり続きます。その病型や経過は患者様によって様々です。そのため緑内障の診療においては、患者様と医師とでより良い治療計画を立てていくことが重要となります。
長期治療になるので、医師との信頼関係が必要です。医師に何でも相談することが大切です。
上記は一般的な説明です。症状が気になる方は受診の上、医師に相談して下さい。当院では月曜日に緑内障外来担当医による緑内障外来を設けております。
●上記は一般的な説明です。症状が気になる方は受診の上、医師に相談して下さい。
●一般の方向けですので医学用語は必ずしも厳密ではありません。
●無断での記事転載はご遠慮ください。
●本文の内容は一般論の概括的記述ですので、個々人の診断治療には必ずしも当てはまりません。
※すでに治療中の方は主治医の判断を優先してください。
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院長: 堀 好子
(日本眼科学会認定 眼科専門医 医学博士)所属学会:日本眼科学会会員、日本眼科医会会員、日本角膜学会、 日本眼科手術学会、日本眼内レンズ屈折手術学会
経歴 昭和61年 岩手医科医学部 卒
平成2年 岩手医科大学大学院 卒平成3年 岩手県立大船渡病院 眼科医長
平成5年 岩手医科大学眼科助手
平成5年 ハーバード大学スケペンス眼研究所勤務
平成9年1月 東京歯科大学眼科勤務
平成9年6月 南青山アイクリニック勤務
平成20年 東京歯科大学市川総合病院勤務平成22年4月~ 池袋サンシャイン通り眼科診療所 管理医師就任
主な論文 The three-dimensional organization of collagen fibrils in the human cornea and sclera.(旧姓Komai)
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常勤: 新川 恭浩
(日本眼科学会認定 眼科専門医)所属学会:日本眼科学会、日本白内障屈折矯正手術学会、日本網膜硝子体学会、日本眼科手術学会
経歴 平成13年 熊本大学医学部 卒
平成14年 京都大学医学部 眼科学教室入局
平成14年 島田市立島田市民病院 勤務
平成20年 高松赤十字病院 勤務
平成22年 公益財団法人田附興風会 北野病院 勤務
平成26年10月~ 池袋サンシャイン通り眼科診療所 勤務 -
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