170.コンタクトレンズの正しいケア方法
こんにちは。池袋サンシャイン通り眼科診療所です。
1年の中でも最も寒い時期になりましたね。皆様いかがお過ごしでしょうか?
今回のテーマは「コンタクトレンズの正しいケア方法」です。
・ソフトコンタクトレンズのケア方法
使い捨てのソフトレンズに対しては過酸化水素タイプのつけ置き消毒のケアかMPS(マルチパーパスソリューション)とよばれるワンボトルケアタイプのこすり洗い消毒のケアのどちらかが必要です。それぞれの特徴やケアの手順は以下のようになっています。
< MPS(マルチパーパスソリューション)>
ワンボトルケアなので1本で洗浄、すすぎ、消毒、保存が可能ですが、こすり洗いをきちんとしないと消毒効果が半分も得られません。つけおきの時間が、過酸化水素タイプより短いので毎日長時間装用される方にはおすすめです。
1)洗浄:レンズケースにケア用品の液を満たし、はずしたレンズを手のひらにのせ、ケア用品の液を3~5滴落として約10秒間こすり洗いします。裏面も同様にケア用品の液を3~5滴落として約10秒間こすり洗いします。
2)すすぎ:レンズの両面をケア用品の液ですすぎ、表面の残留物を充分に取り除きます。
3)消毒・保存:液を満たしたレンズケースにレンズを入れ、キャップをしっかりしめて決められた時間以上放置します(この間に消毒が完了します)。消毒後、レンズケースから取り出したレンズはそのまま装用することができます。
*一度使用した保存液は再利用できません。必ず捨ててケースを洗い、ケースを乾燥させて菌の増殖を防いでください。
※消毒後のレンズはそのまま装用することができますが、レンズを装用直前にすすぐことで、より清潔にお使いいただけます。
<過酸化水素水>
過酸化水素水の強い消毒力を使い、消毒をします。ただし過酸化水素水は目には劇薬です。ですので、消毒の際にコンタクトレンズの中に取り込まれた過酸化水素の
中和を行います。消毒力はMPSより強力ですが、中和が完全に終了してから装用しないと大変危険なので、消毒時間をしっかりととれない方にはお勧めできません。
1) はずしたレンズを左右のレンズホルダーに入れます。
2) 過酸化水素水をレンズケースに注ぎます。
3) 白金ディスクを中和に用いる場合はそのまま蓋をし、錠剤を中和に使用する場合は錠剤を入れ、蓋をして指定された時間以上つけおき、中和します。
使い捨てでないタイプのレンズは、昔は一般的であった煮沸消毒もできます。また、使い捨てでないタイプのソフトレンズは必ず週に1回のタンパク除去が必要になります。液体タイプや錠剤タイプがあり、使用方法は品物により様々なので説明書をよく読み、正しく使用してください。
・ハードコンタクトレンズのケア方法
ハードレンズの洗浄・消毒方法も主に2通り、こすり洗いタイプとつけおきタイプです。つけおきタイプはソフトレンズと違って酵素の力で消毒を行います。
<こすり洗いタイプ>
1)外したレンズを人差し指と中指にレンズを乗せて洗浄液を3~4滴落とします。
2)爪をレンズにあてないように、親指、人差し指、中指を使ってレンズを100回程度こすります。
3)洗ったレンズを洗浄液か、水道水で洗い流して保存液を満たした専用のケースにしまい、指定の時間放置します。
4)装用するときは、ケースから出して洗浄液か水道水で洗ってから装用します。
<つけおき洗いタイプ>
1)外したレンズをレンズケースに保存液を入れて、酵素剤を1~2滴加えます。
2)そのなかに外したレンズをつけこんで、一定時間そのままにしておきます。
3) 装用するときは、ケースから出して洗浄液か水道水で洗ってから装用します。
洗浄剤選びには、ご使用のハードレンズが表面処理のされたものかそうでないものかが重要になってきます。従来のレンズは表面処理のないものが多く、研磨剤の入った洗浄剤が適応になりますが、表面処理のなされたレンズで研磨剤を洗使用してしまうと、表面の処理が傷ついてしまいます。特に最近のレンズは表面処理されたものが増えてきています。ご自身のレンズがどちらか不明な場合はスタッフに確認してみてください。また、ハードレンズも1週間または1ヶ月に1度、定期的に、あるいは、汚れが強くて落ちないときにタンパク除去を行います。タンパク除去の方法には酵素で汚れを分解するタイプと、塩素系洗浄剤で汚れを落とすタイプがあります。方法は以下の通りです
・酵素系洗浄剤:顆粒や錠剤をつけおきの際に加える方法でタンパク除去を行う。
・塩素系洗浄剤:すすぎの終わったレンズを次亜塩素酸ナトリウム溶液につけておくことでタンパク除去を行う。
ただし、塩素系タイプは汚れを強力に落としますが、あまり頻繁に行うとコンタクトレンズの劣化を早めるため、使用は汚れが強くて落ちないとき、または月に1回程度にとどめてください。
日常のケアをきちんと行っていただく事で眼の健康を保ち、コンタクトレンズも長持ちさせることができます。これを機会にケア方法を見直してみてはいかがでしょうか。また、ご自身のケア方法に自信のない方や、慢性的な充血やコンタクトレンズの見え方の不良にお困りの方はお気軽に医師やスタッフにご相談ください。
●上記は一般的な説明です。症状が気になる方は受診の上、医師に相談して下さい。
●一般の方向けですので医学用語は必ずしも厳密ではありません。
●無断での記事転載はご遠慮ください。
●本文の内容は一般論の概括的記述ですので、個々人の診断治療には必ずしも当てはまりません。
※すでに治療中の方は主治医の判断を優先してください。
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院長: 堀 好子
(日本眼科学会認定 眼科専門医 医学博士)所属学会:日本眼科学会会員、日本眼科医会会員、日本角膜学会、 日本眼科手術学会、日本眼内レンズ屈折手術学会
経歴 昭和61年 岩手医科医学部 卒
平成2年 岩手医科大学大学院 卒平成3年 岩手県立大船渡病院 眼科医長
平成5年 岩手医科大学眼科助手
平成5年 ハーバード大学スケペンス眼研究所勤務
平成9年1月 東京歯科大学眼科勤務
平成9年6月 南青山アイクリニック勤務
平成20年 東京歯科大学市川総合病院勤務平成22年4月~ 池袋サンシャイン通り眼科診療所 管理医師就任
主な論文 The three-dimensional organization of collagen fibrils in the human cornea and sclera.(旧姓Komai)
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常勤: 新川 恭浩
(日本眼科学会認定 眼科専門医)所属学会:日本眼科学会、日本白内障屈折矯正手術学会、日本網膜硝子体学会、日本眼科手術学会
経歴 平成13年 熊本大学医学部 卒
平成14年 京都大学医学部 眼科学教室入局
平成14年 島田市立島田市民病院 勤務
平成20年 高松赤十字病院 勤務
平成22年 公益財団法人田附興風会 北野病院 勤務
平成26年10月~ 池袋サンシャイン通り眼科診療所 勤務 -
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