156.円錐角膜について

こんにちは。池袋サンシャイン通り眼科診療所です。
朝夕冷え込む季節になりましたが、お元気にお過ごしでしょうか。

今週は円錐角膜について説明させていただきます。

円錐角膜とは
円錐角膜とは角膜が薄くなり、前方へ円錐状に突出してくる進行性の病気です。多くは両眼性で、初期の段階では診断がつきにくく乱視と診断されることもよくあります。進行の度合いは人により様々で、数ヶ月の間に進行する場合もありますが、何年もかけて進行する場合もあります。20歳前後頃まで眼鏡あるいはソフトコンタクトレンズで矯正できた視力が矯正できなくなり、眼科を受診して診断されることが多くあります。

円錐角膜の原因
現在様々な研究がおこなわれていますが、円錐角膜になる原因は解明していません。一般的には、遺伝性の病気ではないと考えられています。発症に性差(日本では男性:女性=3:1)があるため、ホルモンとの関連が推測されていますが、まだ確定しておらず、目をこするくせやアトピーとの関係が深いとも言われています。

円錐角膜の症状
円錐角膜の初期の段階では、物の見え方がぼんやりする症状が挙げられます。この段階では普通の視力低下とあまり差がなく、気づかれないこともあります。症状が進むにつれ、物が歪んで見えるようになり、眩しくて明るい場所にはいられないという人もいます。また、中には両目の視力が極端に違うという訴えもあります。このような症状が出た場合は、すぐに眼科での検査を受けるようにしましょう。円錐角膜かどうかは、細隙灯顕微鏡という角膜の検査によって判明します。

円錐角膜の治療
円錐角膜の治療には、薬、コンタクトレンズ、また手術によるものが挙げられます。
・薬による治療について
薬での治療では進行を抑える効果はなく、炎症を抑えるほか角膜を保護するものであり、積極的な治療ではありません。
・コンタクトレンズによる治療について
コンタクトレンズでの治療では病気の原因が不明なため、根治する方法はまだ見つかっていませんが、多くの場合ハードコンタクトレンズを装用することで視力を維持することができます。ごく軽度の場合は、眼鏡やソフトコンタクトレンズでも良好な矯正視力が得られることもありますが、進行すると特別なデザインのハードコンタクトレンズを装用しないと視力が得られなくなります。年に数回、コンタクトレンズのチェックと進行の有無を調べる定期検診が必要です。
・手術での治療について
円錐角膜が進行し、コンタクトレンズが使えなくなった場合は、角膜移植手術を受けます。角膜移植手術の成功率は9割以上で、移植手術の中ではもっとも良いとされています。しかし、中には手術後コンタクトレンズを装用しないと視力が得られないことや、自分の体が移植した角膜を攻撃する拒絶反応で角膜が混濁する場合もあります。どのような手術でも拒絶反応、感染、視力低下などの合併症がおこる可能性はあるので、結果が必ず保証されているというわけではないようです。
※円錐角膜の場合、突起した部分の角膜が薄くなってきますから、レーザー手術やレーシック手術などは受けられません。もし、これらの手術を受けると角膜が破れる場合があります。
(当院では手術は行っておりませんが、診察の上他院を紹介いたします。)

●一般の方向けですので医学用語は必ずしも厳密ではありません。
●無断での記事転載はご遠慮ください。
●本文の内容は一般論の概括的記述ですので、個々人の診断治療には必ずしも当てはまりません。
すでに治療中の方は主治医の判断を優先してください。

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