135.何かが飛んで見えるのは病気?
こんにちは。
池袋サンシャイン通り眼科診療所です。
梅雨冷えの肌寒い日もありますが、くれぐれもご自愛くださいませ。
今週のテーマは、「何かが飛んで見えるのは病気?」です。
明るいところで白い壁などを見たとき、眼の前に虫や糸くずなどが飛んで見えることがありませんか?
このような症状を、「飛蚊症」と言います。
飛蚊症とは
飛蚊症とは、視界にごみや虫のようなものが飛んでいるように見える症状です。
黒い点や虫のようなもの、または薄い雲のようなものが視野の中に見えたり、
視線を動かしたとき、それが一緒に移動するように感じることもあります。
また、光が見えるとおっしゃる方もいらっしゃいます。
飛蚊症には、①加齢による変化で特に治療の必要がないタイプの飛蚊症 と、
②病気で生じる早急に治療を要するタイプの飛蚊症 があります。これらは、眼科受診にて検査の上、医師が診断します。
①加齢による変化で治療の必要がないタイプの飛蚊症
眼球の中には「硝子体(しょうしたい)」という、透明なゼリー状の物質が詰まった部分があります。この透明な硝子体に何らかの原因で濁りが生じると、光が眼の中に入った際に、濁りが陰として網膜に映るため、何かが飛んで見えるという症状が生じます。
若い方の硝子体はゼリー状なのですが、加齢とともに液化してきます。それとともに液化した部分に線維状の濁りが生じてきます。飛蚊症の原因の多くはこれです。
加齢がすすむと、硝子体の液化や容積の減少により、硝子体後ろの面が網膜から剥がれます。この現象を「後部硝子体剥離」と言います)
後部硝子体剥離は、どなたにでも生じる加齢にともなう変化です。すぐに治療の必要はありませんが、
後部硝子体剥離に伴う網膜裂孔や網膜円孔、
網膜剥離などを起こす可能性もあるため、定期的に経過を診ていく必要があります。
②病気で生じる早急に治療を要するタイプの飛蚊症
●網膜裂孔・網膜剥離
網膜に破れ目が生じた状態のことを、網膜裂孔と呼びます。
裂孔ができる原因はさまざまですが、元来網膜に弱い部分があるとか、外傷により強い力が網膜にかかった場合や、
後部硝子体剥離が原因で生じることが考えられます。
網膜裂孔から網膜の裏に硝子体中の水が回ってしまうと網膜剥離になります。さらに詳しく説明すると、
網膜は感覚網膜という光を感じとる層と、その土台となっている色素上皮と呼ばれる層があり、感覚網膜が色素上皮から剥がれるのが網膜剥離です。
網膜裂孔、網膜剥離の場合はレーザー光凝固術を行うことが一般的です。
裂孔周囲にレーザー光線を照射して人工的な「やけど」を作り、網膜と色素上皮との接着を強固にします。
網膜剥離が進行している場合は入院しての手術が必要になります。
一般的には網膜冷凍凝固術、強膜バックリング術、硝子体手術などの適応になります。
●眼底出血
眼底出血は網膜表面の血管の破綻や閉塞することで起こる網膜の出血です。糖尿病や高血圧、外傷、
動脈硬化症に伴う網膜中心静脈閉塞症、
後部硝子体剥離などの原因により眼底出血が生じ、飛蚊症を自覚することがあります。
出血が少なければ自然に吸収されることもありますが、内服治療やレーザー光凝固術が必要になる場合もあります。
●硝子体出血
さまざまな部位からの出血が、硝子体腔のなかにたまった状態を硝子体出血といいます。
後部硝子体剥離が原因で起こるもの、加齢黄斑変性や網膜細動脈瘤などによる網膜の下の大量の出血、
くも膜下出血が硝子体腔に回って硝子体出血になるなど、原因は様々ですが、最も多いのは、網膜新生血管が破れた事による出血です。
糖尿病網膜症や、網膜静脈閉塞症などの、網膜の血のめぐりが悪くなる病気では、
網膜の栄養を補おうとしていろいろな場所に新生血管ができてきます。これらは、本来の血管と異なって破れやすく、
硝子体の引っ張りによって容易に出血を起こします。
●ぶどう膜炎
眼内には、ぶどう膜という脈絡膜・毛様体・虹彩の3つからなる組織があり、この組織が炎症を起こすことをぶどう膜炎と呼びます。
炎症が起こると、硝子体に混濁が生じ、飛蚊症を自覚することがあります。また、
ベーチェット病、サルコイドーシス、原田病
といった全身性の炎症疾患の一部分症状として飛蚊症が生じている場合もあります。
どういう原因でぶどう膜炎が生じているのかにより治療方法が異なるので原因検索が重要となります。
飛蚊症の検査
飛蚊症の症状で、最も重要な検査は眼底検査です。
眼底検査とは、散瞳薬を使って瞳孔を広げ、検眼鏡を使って瞳孔から眼球の奥の網膜の状態を調べます。
眼底検査の結果、生理的な飛蚊症であれば定期的に眼底検査をして、経過をみます。上記に挙げたような病気が認められれば、
さらに詳しく検査をし、早急に治療が必要になってきます。
飛蚊症を自覚されたら、なるべく早めに眼科で検査を受けましょう。
また、今見えている浮遊物の数・形の急な変化は眼の病気を知らせるサインです。眼科医師の診察を早期に受けるようにしてください。
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院長: 堀 好子
(日本眼科学会認定 眼科専門医 医学博士)所属学会:日本眼科学会会員、日本眼科医会会員、日本角膜学会、 日本眼科手術学会、日本眼内レンズ屈折手術学会
経歴 昭和61年 岩手医科医学部 卒
平成2年 岩手医科大学大学院 卒平成3年 岩手県立大船渡病院 眼科医長
平成5年 岩手医科大学眼科助手
平成5年 ハーバード大学スケペンス眼研究所勤務
平成9年1月 東京歯科大学眼科勤務
平成9年6月 南青山アイクリニック勤務
平成20年 東京歯科大学市川総合病院勤務平成22年4月~ 池袋サンシャイン通り眼科診療所 管理医師就任
主な論文 The three-dimensional organization of collagen fibrils in the human cornea and sclera.(旧姓Komai)
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常勤: 新川 恭浩
(日本眼科学会認定 眼科専門医)所属学会:日本眼科学会、日本白内障屈折矯正手術学会、日本網膜硝子体学会、日本眼科手術学会
経歴 平成13年 熊本大学医学部 卒
平成14年 京都大学医学部 眼科学教室入局
平成14年 島田市立島田市民病院 勤務
平成20年 高松赤十字病院 勤務
平成22年 公益財団法人田附興風会 北野病院 勤務
平成26年10月~ 池袋サンシャイン通り眼科診療所 勤務 -
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