130.性病と眼の症状
こんにちは。池袋サンシャイン通り眼科診療所です。
この度、東北地方太平洋沖地震被災地の皆様には、心よりお見舞い申し上げます。
又、被災地の復興を心よりお祈り致します。
今回のテーマは「性病と眼の症状について」です。
性病科・泌尿器科など最初に受診した診療科で眼科受診を薦められた場合および、性病治療中で眼に気になる症状があれば眼科受診してください。
①性病(クラミジア)に起因する結膜炎をご案内いたします。
①―①クラミジア結膜炎とは
クラミジア結膜炎とは、クラミジアトラコマティスという病原体にに感染することにより、発症する結膜炎です。この病気は初期の診断がとても難しい病気といわれています。クラミジア結膜炎はトラコーマと言われ日本での発症はとても少なくなっています。
しかし、感染してしまうと、とても恐ろしい症状となります。この病原体に感染した場合、初期には急性濾胞性結膜炎を発症します。5日から12日間の潜伏期間を経て発症します。
①―②クラミジア結膜炎症状
症状はまず、瞼が腫れ、結膜の充血、むくみ、目やに、眼瞼結膜に、小さなブツブツが現れます。
そのまま放置しておくとブツブツが大きくなり、結膜から角膜に血管が進入してきます。
この期間は約3か月から3年です。また、細菌感染を合併して、乳頭増殖が強くなり、
結膜の湿潤も強くなります。更に症状が進むと、瘢痕の形成が始まり、バンヌスが角膜を
覆うようになり角膜潰瘍を合併して視力障害を起こします。
①―③クラミジア治療法と注意点
この結膜炎はクラミジアトラコマティスという細菌が、寄生し増殖する事によって発症します。治療方法は、原則として、抗生剤の眼軟膏を8週間、内服薬を3週間続けます。
この結膜炎の場合、長期間、続けて点眼をしなければなりません。
クラミジアは、粒子状の時には宿主細胞内に取り込まれます。このような状態の時には、抗生剤の効果はありません。
細胞内に入った基本小体が、網状体に変化して、増殖を繰り返し、また基本小体になります。基本小体で一杯になった宿主細胞は破壊されて、基本小体が周囲の細胞にばら撒かれてしまいます。このサイクルを48時間で繰り返すのです。
この結膜炎を治療するためには、抗生剤が効く網状体の時にクラミジアを減らさなくてはなりませんから、完治させるには長期間の治療が必要になります。
②その他の性病に起因する眼の症状
②―①HIV感染症に伴う眼疾患の合併症
HIV感染者の30%以上には、何らかの眼疾患の合併症が見られます。
最も多いのが網膜の微小循環障害によるいわゆるHIV網膜症です。無症状で数週間のうちに消失します。
このHIV網膜症と眼部帯状ヘルペスはHIV感染症の初期から見られるため、
これらが認められた場合HIV感染の検査が必要になってきます。
またHIV感染症が進行し免疫能が極端に低下するとサイトメガロウイルス網膜炎など
日和見眼感染症が発症しやすくなります。
ヒトヘルペスウイルス8型(HHV-8)によるカボジ肉腫も、エイズ患者の2%程度において、
眼瞼、結膜に認められます。
②―②ぶどう膜炎、網膜炎
ぶどう膜炎は、虹彩、毛様体、脈絡膜のいずれかに炎症性変化を認める疾患の総称です。
単独で起こることも、全身疾患に伴って発症することもあり、周囲の網膜や硝子体に炎症が波及することもあります。
性感染症によるぶどう膜炎・網膜炎には、梅毒性ぶどう膜炎、
ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-1)関連ぶどう膜炎、HIV感染症に伴う眼疾患の合併症などがあります。
気をつけたい点
性病からくる眼の症状は、自覚のないまま眼の不調を訴え、眼科を受診するケースが多く、
なかなか性病に気がつかないケースがあります。
そうなると、本人が気づかないうちにパートーナーに感染させてしまいます。
又、パートーナーも感染している場合も考えられますので、お二人とも受診をされる事をお勧めします。
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院長: 堀 好子
(日本眼科学会認定 眼科専門医 医学博士)所属学会:日本眼科学会会員、日本眼科医会会員、日本角膜学会、 日本眼科手術学会、日本眼内レンズ屈折手術学会
経歴 昭和61年 岩手医科医学部 卒
平成2年 岩手医科大学大学院 卒平成3年 岩手県立大船渡病院 眼科医長
平成5年 岩手医科大学眼科助手
平成5年 ハーバード大学スケペンス眼研究所勤務
平成9年1月 東京歯科大学眼科勤務
平成9年6月 南青山アイクリニック勤務
平成20年 東京歯科大学市川総合病院勤務平成22年4月~ 池袋サンシャイン通り眼科診療所 管理医師就任
主な論文 The three-dimensional organization of collagen fibrils in the human cornea and sclera.(旧姓Komai)
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常勤: 新川 恭浩
(日本眼科学会認定 眼科専門医)所属学会:日本眼科学会、日本白内障屈折矯正手術学会、日本網膜硝子体学会、日本眼科手術学会
経歴 平成13年 熊本大学医学部 卒
平成14年 京都大学医学部 眼科学教室入局
平成14年 島田市立島田市民病院 勤務
平成20年 高松赤十字病院 勤務
平成22年 公益財団法人田附興風会 北野病院 勤務
平成26年10月~ 池袋サンシャイン通り眼科診療所 勤務 -
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