115.遺伝性眼疾患とは

こんにちは。池袋サンシャイン通り眼科診療所です。
インフルエンザが猛威をふるっておりますが、体調管理にはお気をつけください。

今週のテーマは「遺伝性眼疾患」です。
みなさまは、元プロ野球選手として有名な新庄選手が、遺伝性の眼疾患が原因で引退を決意したのはご存知でしょうか。
新庄選手の病名は明かされておりませんが、遺伝性眼疾患にも、軽度から重度のものまで様々ございます。
今週は、遺伝性の代表的な眼疾患をご説明させていただきます。

屈折異常…近視、遠視、乱視など、カメラのレンズにあたる水晶体のピント合わせがうまくいかない目の異常のことです。強度の近視の方や、遠視の方は眼精疲労などの原因になりますので、メガネやコンタクトレンズによる矯正での治療が必要になります。

斜視… 斜視にはいろいろの種類があります。なかでも外斜視とは眼が外側に寄る間欠性外斜視が遺伝によるものが多いとされています。症状がなければ治療は不要な場合もあります。まれに弱視が起こります。症状が気になるときには眼鏡をかけると有効です。眼筋を鍛えるための眼の運動を勧められる場合もあります。眼鏡をかけても症状が悪化する場合には、手術が有効なことがあります。

色覚異常…ほとんどが男性にみられます(全男子人口の5~6%)。ただし全色覚異常者の4%は女性です。色覚異常の原因は、網膜の錐体細胞にある視細胞の異常で、正常な人に比べて赤や緑を識別する能力が劣るのが特徴です。 女性の中には、色覚異常の遺伝子があっても発病せず、子ども(男児)に、色覚異常の遺伝子を伝え、その子どもが発病する可能性がある人もいます。この場合は色覚異常の保因者ということになります。色覚異常は日常生活にほとんど影響がないため自覚されにくく、学校検診ではじめて指摘されることが多いようです。

先天性白内障…水晶体が濁ってものが見えにくくなるのが白内障で、先天性と後天性とがあります。先天性白内障は生まれつき水晶体が濁っているため、外からの光が網膜に達せず視力の発達が妨げられます。できるだけ早い時期に手術をして、弱視になるのを予防する必要があります。出生時の水晶体は透明で徐々に濁ってくるタイプの白内障は、水晶体が透明な時期に光刺激を受けた経験があるため弱視になりにくく、この場合は発達白内障といい区別します。遺伝性のものは20~30%で、あとは母体内感染、全身性の代謝異常、染色体異常などが原因です。なかには原因のわからない例もかなりあります。

網膜色素変性…網膜色素変性症とは網膜に異常な色素沈着が起こる一連の病気のことです。
網膜が壊れていくに従い、最初周辺が見えにくくなったり、暗いところが見えにくくなったりします。長い年数をかけて進行することもあり、視野が欠け、中心だけが見えるという場合もあります。遺伝性疾患と考えられていて、遺伝子検索も多く行われていますが、これまでのところ単一遺伝子ではなく多数の遺伝子が関わっていると考えられています。現在は有効な治療法がないため、残された視機能をできる限り有効に使うためのリハビリが治療の中心になります。全身的な異常を伴う場合もあります。

緑内障…眼球内部の圧(眼圧)が高くなるために、視神経がおされ、視力の低下や視野狭窄がおこる病気を緑内障といいます。遺伝性の緑内障には先天性緑内障があり、ほかにも、スティックラー症候群、無虹彩症などの他の先天異常に合併しておこる続発先天性緑内障があります。これらの病気が遺伝性であることは解明されていましたが、一般的な緑内障が遺伝するかどうかは不明でした。現在、緑内障の原因遺伝子の一部は解明されて遺伝することが確認されています。自覚症状があまりないのが特徴です。ですので、発見が遅れて視力を失った、ということにならないよう初期症状を見逃さないことが大切です。

膜芽細胞腫…網膜芽細胞種は早くから遺伝性のがんとして知られていました。瞳が光ってみえるため猫目といって恐れられてきましたが、現在では早期に発見し治療すれば生命予後もよく、視力さえ保存できる場合があります。抗がん剤による化学療法、放射線療法、光凝固、冷凍凝固療法を組み合わせる治療を行います。
このように、遺伝性眼疾患はいろいろとございますが、発見が遅れることで、視力を失ってしまう眼疾患が多くございます。早期発見、早期治療することで、大切な視力を守ることができます。日々のわずかな視野の変化をお感じになられましたら、すぐに眼科受診をしていただくことが大切です。当院では、様々な検査機器をご用意しております。何か気になっていることがございましたら、ぜひお気軽にご来院ください。

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