74.眼症状を伴う全身疾患
こんにちは池袋サンシャイン通り眼科診療所です。
暖かい陽気が続いておりますが、みなさんいかがおすごしでしょうか。
今週のテーマは
「眼症状を伴う全身疾患」です。
全身疾患がある場合、その一症状や合併症として眼の症状が現れるのは少ないことではありません。
いくつかの全身疾患とそれに伴う眼症状を述べさせていただきます。
①サルコイドーシス
全身多臓器に発症するため、リンパ節、肺、気管支壁、皮膚、結膜などあらゆる部位から生検されます。主として肺とリンパ系に発病する原因不明の全身性肉芽腫性疾患です。サルコイドーシスを疑われたときに行なう基本的検査は胸部CT、肺機能検査、心電図、血液検査、眼科的検査です。
サルコイドーシスに伴う眼の症状
角膜の後面に白い小さな沈殿物が多数つき、硝子体には雪玉のような濁り、眼底には血管炎などの症状が現れます。自覚症状としては、飛蚊症が現れます。
②ベーチェット病
目、全身の皮膚、粘膜にさまざまな症状を繰り返し、やがて慢性化していく、現在も原因不明の全身病です。ほとんどの患者様が訴える症状に、口の中に潰瘍ができることがあげられます。10日程でその潰瘍は回復しますが、症状が何度も繰り返されます。
ベーチェット病に伴う眼の症状
眼底出血、視力低下、強い痛み、黒目の部分に膿がたまる、などの症状を繰り返します。眼症状はベーチェット病の中でも最も重い症状をあらわす場所です。ほとんど両眼が侵され、後眼部病変として網膜絡膜炎を起こし、最悪の場合、失明に至ることがあります。
③原田病
日本では、サルコイドーシス、ベーチェット病とともに、頻度の高いもので、網膜と脈絡膜に症状が出るものです。色素細胞に対して免疫反応が起こることが原因と考えられ、眼だけでなく、色素細胞がある脳、皮膚、毛髪、内耳などの組織も侵されるため、ぶどう膜・髄膜炎症候群とも呼ばれています。めまい・難聴・耳鳴り、倦怠感などが現れたり、髄膜炎を併発して、激しい頭痛が起こったりもします。その後、皮膚の一部が白くなったり、髪の毛が抜けたり白髪になったりします。
原田病に伴う眼の症状
両眼の急激な視力の低下、ぼやけて見えにくいなどの症状があります。炎症が強いと両眼に網膜剥離が起こってきます。
④HIV エイズ
後天性免疫不全症候群はHIVの感染によりひきおこされる細胞性免疫の不全状態に基づいておきます。日和見感染、悪性腫瘍、神経系の障害などが起こります。HIVの感染は、性行為、輸血および血液製剤による感染、汚染した注射針の再使用、母児感染などでもおき、倦怠感、発熱、下痢、持続的なリンパ節の腫脹などが現れます。
HIV エイズに伴う眼の症状
白斑、網膜の出血、出血や白斑が黄斑部に及んでいれば視力が低下しますが、そうでなければ無症状の場合も多いようです。ときには視野の一部に暗い部分を感じることもあります。
④高血圧
高血圧は心拍出量や抹消動脈抵抗の増大から起こる全身疾患で、その原因は多岐にわたります。頭痛、めまい、肩こりなどが現れますが、高血圧の方は無症状な方が多く、検診などにより早期に発見し、罹患率や死亡率を減少させるよう、治療、管理していくことが必要です。
高血圧に伴う眼の症状
ほとんどが無症状です。稀に視力の低下が現れます。
⑤糖尿病性網膜症(とうにょうびょうせいもうまくしょう)
高血糖による末梢神経障害および代謝異常などからくる合併症で、神経症、腎症、網膜症が代表的な合併症です。他にも心筋梗塞、脳梗塞、狭心症等が起こる可能性があります。糖尿病の患者様の血液は、糖が多く固まりやすい状態になっているため、網膜の毛細血管を詰まらせ、血管の壁に負担がかかり、網膜に酸素や栄養素が不足します。
糖尿病性網膜症に伴う眼の症状
眼底出血や硝子体出血を引き起こすことがあります。初期の段階で患者様自身が眼の異常に気が付くことは困難です。
その他
急に老眼が進む、ドライアイ症状、眼瞼下垂等は疲れや寝不足だけが原因ではなく、
甲状腺の病気や自己免疫疾患(リウマチやシェ-グレン症候群等)の可能性もあります。
内科、その他にかかった場合には内科の医師に相談の上、眼科も受診していただくことをお勧めします。
また気になる症状があれば、すぐに眼科を受診していただくことをお勧めします。
●一般の方向けですので医学用語は必ずしも厳密ではありません。
●無断での記事転載はご遠慮ください。
●本文の内容は一般論の概括的記述ですので、個々人の診断治療には必ずしも当てはまりません。
すでに治療中の方は主治医の判断を優先してください。
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院長: 堀 好子
(日本眼科学会認定 眼科専門医 医学博士)所属学会:日本眼科学会会員、日本眼科医会会員、日本角膜学会、 日本眼科手術学会、日本眼内レンズ屈折手術学会
経歴 昭和61年 岩手医科医学部 卒
平成2年 岩手医科大学大学院 卒平成3年 岩手県立大船渡病院 眼科医長
平成5年 岩手医科大学眼科助手
平成5年 ハーバード大学スケペンス眼研究所勤務
平成9年1月 東京歯科大学眼科勤務
平成9年6月 南青山アイクリニック勤務
平成20年 東京歯科大学市川総合病院勤務平成22年4月~ 池袋サンシャイン通り眼科診療所 管理医師就任
主な論文 The three-dimensional organization of collagen fibrils in the human cornea and sclera.(旧姓Komai)
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常勤: 新川 恭浩
(日本眼科学会認定 眼科専門医)所属学会:日本眼科学会、日本白内障屈折矯正手術学会、日本網膜硝子体学会、日本眼科手術学会
経歴 平成13年 熊本大学医学部 卒
平成14年 京都大学医学部 眼科学教室入局
平成14年 島田市立島田市民病院 勤務
平成20年 高松赤十字病院 勤務
平成22年 公益財団法人田附興風会 北野病院 勤務
平成26年10月~ 池袋サンシャイン通り眼科診療所 勤務 -
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