71.視神経乳頭陥凹拡大
こんにちは、池袋サンシャイン通り眼科診療所です。
まだまだ寒い日が続きますが皆様いかがお過ごしでしょうか。
今週のテーマは「視神経乳頭陥凹拡大」です。
視神経乳頭陥凹拡大とは
まず、視神経とは、神経線維という細い繊維が集まって束ねられたものです。脳からの視神経は、眼球とつながっています。この部分は眼底では赤味を帯びた円形として見られ、これを視神経乳頭といいます。
視神経乳頭の中央部は、個人差がありますが、凹みがあり白っぽく見えます。この凹みが正常な人より大きくなっていると、視神経乳頭陥凹拡大と診断され、問題にされます。
陥凹が大きくなるということは、視神経の中の視神経線維の数が減少していることを示します。これは眼底全体の神経線維が不足していることを意味し、視野の一部が欠けていることが考えられます。
人間ドックや健診などで、視神経乳頭陥凹拡大を指摘され、要精密検査といわれて眼科に来られる方います。これは、簡単に言えば緑内障の疑いがある、ということです。
緑内障
緑内障は、何らかの原因で視神経が障害され視野(見える範囲)が狭くなる病気です。我が国における失明原因の第1位を占めており、日本の社会において大きな問題として考えられています。緑内障は一般的に自覚症状はほとんどなく、知らないうちに病気が進行していることが多くあります。
しかし、早期発見・早期治療によって失明の危険性を少しでも減らすことができる病気の一つであるため、早期に医療機関に相談することが肝要な病気なのです。
検査方法
視神経乳頭陥凹拡大は、医師が眼底を診て診断します
また、緑内障の疑いがありますので、眼圧検査、視野検査、眼底三次元解析(HRTⅡ)、眼底検査で緑内障かどうかを診断します。
~当院で行う主な検査方法~
眼圧検査・・・眼の中には血液のかわりとなって栄養などを運ぶ房水とよばれる液体が流れています。この圧力が眼圧です。正常値は10~21mmHgといわれています。極端に高い値でなければ、眼圧が高いという自覚症状は全くありません。
眼底検査・・・検眼鏡を通じて主に視神経や網膜を観察する検査です。この検査により眼底疾患の有無を調べることが出来ます。また、眼底カメラを使用することにより、眼底の写真を撮ることも出来ます。
視野検査・・・まず視野とは、視線を動かさずに見ることができる範囲のことです。物の色、大きさ、明るさなどによっても範囲はかわります。検査ではいろいろな角度や部位から様々な大きさと強さの光を出してそれが見えるかどうかを調べます。検査には静的視野検査と動的視野検査があります。
☆ FDTスクリーナー・・・FDTスクリーナー(片眼約1分の検査時間)という機械を使って、視野の検査を行ないます
☆ ハンフリー視野計・・・静的視野検査は当院ではハンフリー(片眼約4~5分の検査時間)という自動視野計にて測定します。ハンフリーはFDTよりも詳しく視野の状態を調べることが出来ます。
☆ ゴールドマン視野計・・・動的視野検査はゴールドマン(検査時間20分~30分)を使います。全体の視野の形状を検査で知ることが出来ます。
眼底三次元解析(HRTⅡ)・・・緑内障診断において、ハンフリー視野計と並ぶ重要な検査機器です。視神経乳頭をクリアに撮影し、解析結果を立体的に表示します。ハンフリーと併用することにより、緑内障の経過診断をより客観的に行うことができます。
緑内障の主な治療方法
緑内障の治療は病気の進行をくい止めるため、眼圧を低くコントロールすることが最も有効とされています。
治療法としては薬物療法、レーザー治療や手術が一般的です。
レーザー治療や手術を受け眼圧が下降しても、その効果が維持されるとは限らず、再度手術を行う場合もあります。
~当院で行う主な治療方法~
薬物療法・・・眼圧を下げるために使われる薬は、主に房水の産出量を減らしたり、房水の流れをよくする薬です。
まず点眼薬からはじめ、最初は1種類の薬で様子を見ながら、途中で薬を変更したり、また2~3種類を併用することもあります。
急性緑内障の場合や薬物療法で眼圧コントロールが不十分な場合、レーザー治療や手術を行います。
レーザー治療・・・当院ではグリーンレーザー光凝固装置にて、光エネルギーを用いて網膜周辺部や黄斑部の蛋白凝固や虹彩切開を行い、線維柱帯にあてて房水の流出を促進し、緑内障や眼底疾患を治療します。比較的安全で痛みもなく、入院の必要もありません。
薬物療法、レーザー治療が効果的でなかった場合には、手術も検討され、緑内障のタイプや眼圧、進行具合などを総合的に考慮して決定されます。
人間ドックや健診などで、視神経乳頭陥凹拡大を指摘されたら
人間ドックや健康診断で視神経乳頭陥凹拡大が指摘された時は早めに眼科を受診して眼底検査、視野検査、眼底三次元解析(HRTⅡ)および眼圧検査を受け、緑内障ではないかどうかを診てもらうことが大切です。
緑内障はこの陥凹拡大の結果として視野に欠けた部分がでてくる病気です。視神経の障害はゆっくりとおこり、視野(見える範囲)も少しずつ狭くなっていくため、自覚症状はほとんど感じることはありません。しかし、一度失われた視野は二度と戻ることはないため、放置すると知らないうちに病気が進行し、失明にいたる危険性があります。
病気の進行をさせないために早期発見、早期治療が大切なのです。
ただ陥凹拡大がある方全員が緑内障というわけではありません。視力検査、視野検査、眼底三次元解析(HRTⅡ)、眼圧検査などに異常がなければ緑内障ではなく、経過観察のみでいいという方も大勢おられます。いずれにしても早めに眼科で検査を受け緑内障なのか、違うのか診断を受けられることをお勧めします。
●一般の方向けですので医学用語は必ずしも厳密ではありません。
●無断での記事転載はご遠慮ください。
●本文の内容は一般論の概括的記述ですので、個々人の診断治療には必ずしも当てはまりません。
すでに治療中の方は主治医の判断を優先してください。
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院長: 堀 好子
(日本眼科学会認定 眼科専門医 医学博士)所属学会:日本眼科学会会員、日本眼科医会会員、日本角膜学会、 日本眼科手術学会、日本眼内レンズ屈折手術学会
経歴 昭和61年 岩手医科医学部 卒
平成2年 岩手医科大学大学院 卒平成3年 岩手県立大船渡病院 眼科医長
平成5年 岩手医科大学眼科助手
平成5年 ハーバード大学スケペンス眼研究所勤務
平成9年1月 東京歯科大学眼科勤務
平成9年6月 南青山アイクリニック勤務
平成20年 東京歯科大学市川総合病院勤務平成22年4月~ 池袋サンシャイン通り眼科診療所 管理医師就任
主な論文 The three-dimensional organization of collagen fibrils in the human cornea and sclera.(旧姓Komai)
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常勤: 新川 恭浩
(日本眼科学会認定 眼科専門医)所属学会:日本眼科学会、日本白内障屈折矯正手術学会、日本網膜硝子体学会、日本眼科手術学会
経歴 平成13年 熊本大学医学部 卒
平成14年 京都大学医学部 眼科学教室入局
平成14年 島田市立島田市民病院 勤務
平成20年 高松赤十字病院 勤務
平成22年 公益財団法人田附興風会 北野病院 勤務
平成26年10月~ 池袋サンシャイン通り眼科診療所 勤務 -
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