66.健診で緑内障疑いと言われたら

こんにちは池袋サンシャイン通り眼科診療所です。
今日から2月になりますが、寒い日が続いています、お体にはお気をつけ下さい。
今週のテーマは「健診で緑内障疑いと言われたら」です。

そもそも緑内障とは…視神経が先天的に弱いか、目の硬さ(眼圧)が普通の人より高いために、自分の目の圧力で神経が圧迫されて、視神経が傷んで視野に異常が起こる病気です。
日常生活では、両眼で見ていますし、多くの場合、病気の進行は緩やかなので、初期は視野障害があってもまったく自覚しないことがほとんどです。実際、緑内障の患者さんが自覚症状で気がつくのは、かなり進行してしまって視野や視力が悪化してからということも多いです。視野障害が進行した場合は、視力が低下したり、場合によっては失明することさえありえます。しかも緑内障が恐ろしいことの理由の一つは、喪失した視野や視力を治療によって取り戻すことができません。
緑内障の治療は、あくまでも緑内障の進行を遅くするためのものであり、見え方を改善することはできませんので早めの検査が大切になってきます。

健診で緑内障が疑われるものとして
・ 視神経乳頭陥凹拡大、高眼圧などの病名が挙げられます。

視神経乳頭陥凹拡大とは
 視神経というのは、網膜の神経節細胞の神経線維が各方向から集まってきて束になり、脳へ向かう、脳神経のひとつです。
問題となるのは、「緑内障」のときに、高まった眼圧と血液循環の障害のために視神経の網膜側の入り口(視神経乳頭)のへこみ(陥凹)が大きくなり、くびれてしまう状態です。
こうなると、その部分に相当する視野が狭くなってしまいます。一度障害を受けた視神経は回復することはありません。
視神経の形は人によって個人差がありますが、中心に陥凹が全くない人や生まれつき視野に問題がない程度に陥凹がある人はいます。
視神経乳頭陥凹拡大とはこの陥凹が、正常な人より病的に大きくなっている事を指します。
このような状態に陥っていなかどうかをみるために、視神経乳頭に陥凹の拡大がある場合は、眼科にて視野検査が必要となります。

高眼圧とは
眼圧が平均よりも高いことです。眼圧が上昇すると視神経が障害されやすくなり、緑内障になるリスクが高くなります。
高眼圧症と診断された場合、眼圧が高いが、それによる視神経陥凹等の視神経障害が見られないものです。しかし、今後緑内障を起こす可能性がゼロと言うわけではありませんので眼科で検査を受ける必要があります。

当院では下記の検査機器を使用し緑内障の診断、及び治療の方針を決めていきます。

眼圧検査:房水という液体によって保たれている眼球内圧(眼圧)を測定する検査です。
眼圧は、健康な目でほぼ一定ですが、房水の生産量と流出量のバランスが崩れると変動します。眼圧の変動は目の異常を知る重要な手がかりです。特に、緑内障を調べる際には、必ず行なわれる重要な検査です。

アプラネーショントノメーター
アプラネーショントノメーターは(圧平眼圧計)は、ゴールドマン眼圧計が代表的な検査機器とされています。円筒形の圧平プリズムやコイルスプリングなどを内蔵していて、通常診察室にて患者さんの目に点眼麻酔をしたあとに、スリットランプに装着して眼球に圧力を加えて検査をします。現在のところ一番測定値が正確とされています。

眼圧計(ノンコンタクトトノメーター)
眼球の硬さを測る装置です。房水という液体によって保たれている眼球内圧を、角膜には触れずに、圧縮空気を眼球に吹き付けて計測します。検査は一瞬で済み、少々音と衝撃はありますが、痛みはありません。眼圧が高い場合は、高眼圧症や緑内障が疑われます。

眼底検査:視神経の状態をみるために、視神経乳頭部を観察します。視神経が障害されている場合、陥凹(へこみ)の形が正常に比べて変形し大きくなります。緑内障発見のための必須の検査です。

視神経乳頭解析装置 ハイデルベルグレチナトモグラフⅡ(HRT-Ⅱ)
視神経乳頭の形状を三次元画像として取り込み解析する為の、共焦点レーザー走査型顕微鏡です。緑内障による視神経乳頭陥凹と視神経乳頭繊維層欠損を定量的に測定することが出来ます。この装置の主な目的としては緑内障による視神経乳頭のダメージの確認と緑内障経過のフォローアップに使います。

眼底カメラ 画像ファイリングシステム
眼底検査は、眼底カメラにて瞳孔を通して眼底を照明し撮影し、血管の走行などから疾患を診断する方法で、眼病や生活習慣病(高血圧・糖尿病・脳梗塞・高脂血症)などに起因する眼底部の画像によりそれらの合併症が判断できます。眼底写真では、乳頭、黄斑(中心窩)、眼底動脈(網膜中心動脈、鼻側動脈、耳側動脈)、眼底静脈が描出されます。
これらのデジタル画像を患者様毎に保存しておりますので、病的変化を時系列で確認することが可能です。


視野検査:視野の欠損(見えない範囲)の存在の有無や大きさから緑内障の進行の具合を判定します。

ハンフリー自動視野計
コンピューター制御により、自動的に視野を測定する装置です。緑内障や視野神経疾患の有無、程度の診察に使用します。緑内障は見える範囲(視野)がだんだんと狭くなっていく病気です。視野の内どこがどの程度見えていないかを正確に調べるのが視野検査です。ハンフリー視野計は、主にものを見る中心部近くを詳しく検査します。検査時間は片眼あたり10分弱ぐらいです。

ハンフリーFDTスクリーナー
ハンフリー自動視野計と同じでコンピューター制御により、自動的に視野を測定する装置です。特徴は検査が短時間の、片眼あたり1分弱ぐらいで済むことです。この視野計は眼の神経の中でちらつきに反応する神経細胞を主に調べます。これにより視野欠損などの障害を短時間で検査することができます。

ゴールドマン視野計
視野全体を定量的に測定するもので、ハンフリー視野計にどうしても慣れることが出来ない方、高齢の方などにゴールドマン視野計を用います。網膜色素変性症や進行した緑内障など、周辺部の視野が変化する疾患で特に有用です。頭の中の腫瘍や出血などによって生じる視野変化の測定に有用です。

緑内障の精密検査の目安は
眼の症状にもよりますが一般的に半年から1年に1回です。
他の眼の病気がある患者様は、医師と相談して頂き検査の頻度を決めましょう。

経過観察になった際、日常生活で注意すること
・一度に大量の水分やアルコールを飲むと眼圧が上がることがあります。
・隅角が閉塞しているタイプの緑内障の方は、長時間うつむいたり、細かいものを見続けると眼圧が上がることがあります。
・また、内視鏡検査で用いる薬や風邪薬・胃薬の中に眼圧が上がるものがありますので前もって主治医に相談するようにしましょう。


緑内障の治療
 治療方法としては、薬物療法・レーザー治療・手術がありますが、すべての緑内障に対して同じ治療効果があるのではなく、緑内障のタイプやそれぞれの人に適した治療方針を決定していくことがとても重要です。

(1)薬物療法
 多くの緑内障では、薬物療法が治療の基本となります。緑内障のタイプ・重症度・眼圧の高さなどに応じて処方されます。点眼薬の種類は緑内障治療薬だけで現在10種類以上あります。一種類の目薬だけで効果が少ないと判断された場合は、複数の目薬を組み合わせて処方されます。また、眼圧を下げる飲み薬もありますが、全身の副作用が強く出ることがあり、内服できない場合もあります。目薬は病状を維持するためのものです。症状が改善しないからといってやめてしまわず、長期的に根気よく続けていくことが重要です。
(2)レーザー治療
 レーザー治療には主に二つの方法があります。一つは、虹彩(いわゆる茶目)に孔を開けて、眼内の房水の流れを変えるというもので、多くの閉塞隅角緑内障がこの方法によって治療可能です。虹彩に孔を開けるときにレーザーを使用します。もう一つは、線維柱帯に照射することで房水の排出を促進するためのレーザー治療です。一部の開放隅角緑内障に効果があります。レーザー治療の痛みは極軽度で外来で行うことができます。
(3)手術
 薬物療法やレーザー治療が功を奏さなかった場合に行われる治療です。大まかには、房水を眼外に出すように細工をする手術と、線維柱帯を切開して房水の排出をたやすくしてやる手術の二つがあります。手術をしても症状が改善するのではなく、あくまで眼圧を下げて進行を食い止めるのが目的です。緑内障の手術方法は年々改良が進み、治療成績もかなり改善されてきました。

●上記は一般的な説明です。症状が気になる方は受診の上、医師に相談して下さい。
●一般の方向けですので医学用語は必ずしも厳密ではありません。
●無断での記事転載はご遠慮ください。
●本文の内容は一般論の概括的記述ですので、個々人の診断治療には必ずしも当てはまりません。
※すでに治療中の方は主治医の判断を優先してください。

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