56.睡眠時間と目
こんにちは、池袋サンシャイン通り眼科診療所です。
そぞろに冷たい日が続いておりますが、風邪などひかぬようご自愛ください。
今週のテーマは「睡眠時間と目」です。
<睡眠不足による目への影響>
睡眠不足の状態で物を見たとき、かすんで見えた経験はありませんか。
眼精疲労時、パソコンの画面がかすんで見えるように、睡眠不足の状態だと、物を見る認識スピード、コントラスト(凹凸を見分ける)の感度、目の調整能力に影響してきます。
□認識スピードの低下・・・睡眠不足の日にパソコン仕事がはかどらないのは、見え方のせいかもしれません。睡眠不足で頭がぼんやりすると、網膜から脳への情報の伝達速度が遅くなり、認識スピードが低下することが考えられます。
□コントラスト感度の低下・・・凹凸を見分けることを、コントラスト感度といい、VCTS (Vision Contrast Test System)などの検査法が使用されています。これは、ぼんやりしたものが、どれくらいの細かさの縞模様まで認識できるのかを調べるものです。睡眠不足だと、高周波数領域において低下することが考えられます。
□目の調節能力の低下・・・長時間パソコン画面を見たり、読書をしたり、日常生活で近距離を見る機会は多いものです。近距離を見る時には、調節力がかかります。睡眠不足だと、調節力が乏しい状態になり、近見視力は低下すると考えられます。
<睡眠不足が原因となる疾患>
○眼精疲労
眼精疲労は、眼を使う作業を続けることによって、目が重い、ショボショボする、眼痛、充血、かすみや視力の低下などの症状が現れます。 また眼精疲労は目以外にも、肩こりや、胃痛や食欲不振、便秘なども起こることがあります。ひどい場合は、目の裏側の強い痛みや吐き気をもよおすほどです。 睡眠不足は、眼精疲労を引き起こす原因になります。
◆眼精疲労の対処法
疲れた目は休めるのが一番です。睡眠不足は眼精疲労を悪化させる要因になります。十分な睡眠を心掛けることが大切です。また、点眼薬の使用や、ブルーベリーに含まれるアントシアニン、ビタミンA、B1、B2、カロチンやリコピンの摂取も効果があります。
○ドライアイ
ドライアイは、涙の量の不足、涙の成分が変化することによって、目の表面に障害(傷)が生じる目の病気です。睡眠時間が不足すると、ドライアイが起こりやすくなります。 一般的には目が乾く、ショボショボする、開けづらい、疲れ、充血、かすんで見えるといった症状が多くみられます。
◆ドライアイの対処法
日常生活では睡眠を十分にとり、眼を集中して使う作業の際は意識的にまばたきをして適度に休憩をとります。
□点眼液・眼軟膏による治療
涙液分泌自体を促進させる薬物はなく、人工涙液や角膜保護成分を含んだ点眼薬や眼軟膏を使用し、不足した涙液の補充を行う方法です。 それでも症状が改善されない場合には、眼を温めると症状が改善し楽になります。
当院ではドライアイの治療に「アイホット」という器械を使用できます。
□涙点閉鎖による治療
涙は目の表面から蒸発する以外はほとんどが涙点から鼻に出る為、涙点を閉じて涙の流出を抑え、涙を眼の表面に十分に溜める方法です。 当院では「シリコン性涙点プラグ」と「コラーゲン製涙点プラグ」を利用した治療をしております。 気になる方は眼科医にご相談ください。
<目の健康のために>
目の健康のためには、適度な睡眠をとることが大切です。 適度な睡眠は目の周辺の筋肉や視神経をリラックスさせることができます。そして、目の周りの血行がよくなるので、まぶたも軽く、視界もスッキリします。 質の良い睡眠を日ごろから心がけましょう。
<質の高い眠りを確保するには>
・ 快眠の秘訣は起床時間・・・毎朝決まった時間に目覚め、日光を浴びると、14~16時間後に眠くなります。
・ 午後の作業効率を高める・・・昼のわずかな昼寝(15分程度)は午後の眠気を減らし、作業効率をアップさせます。
・ 就寝前のカフェイン摂取はひかえる・・・就寝前のコーヒー、紅茶、緑茶などからのカフェイン摂取、喫煙は寝つきを悪くし、睡眠の質を低下させます。睡眠薬代わりの寝酒も厳禁です。
・ 就寝前にリラックスを・・・ぬるめの湯の入浴、軽い読書や音楽、香り、ゆったりしたストレッチなど、自分に合ったリラックス法を見つけましょう。
・ 眠りやすい室内環境・・・快眠の条件は、騒音は40フォン以下(図書館程度)、照明は30ルクス以下(月明かり程度)、温度は20度前後、湿度は50%くらいが理想と言われています。
・ 眠りは追いかけると逃げていく・・・床に入っても30分以上眠れないときは、いったん床を離れましょう。睡眠が浅いときは、逆に遅寝・早起きを試みましょう。
上記を試みても、それでも眠れない場合、不眠症が考えられます。 不眠の方、不眠で目に症状がある方は、それぞれ内科、眼科受診をお勧めします。 これらの症状がある方は早めに医師に相談をしましょう。
●上記は一般的な説明です。症状が気になる方は受診の上、医師に相談して下さい。
●一般の方向けですので医学用語は必ずしも厳密ではありません。
●無断での記事転載はご遠慮ください。
●本文の内容は一般論の概括的記述ですので、個々人の診断治療には必ずしも当てはまりません。
※すでに治療中の方は主治医の判断を優先してください。
-
院長: 堀 好子
(日本眼科学会認定 眼科専門医 医学博士)所属学会:日本眼科学会会員、日本眼科医会会員、日本角膜学会、 日本眼科手術学会、日本眼内レンズ屈折手術学会
経歴 昭和61年 岩手医科医学部 卒
平成2年 岩手医科大学大学院 卒平成3年 岩手県立大船渡病院 眼科医長
平成5年 岩手医科大学眼科助手
平成5年 ハーバード大学スケペンス眼研究所勤務
平成9年1月 東京歯科大学眼科勤務
平成9年6月 南青山アイクリニック勤務
平成20年 東京歯科大学市川総合病院勤務平成22年4月~ 池袋サンシャイン通り眼科診療所 管理医師就任
主な論文 The three-dimensional organization of collagen fibrils in the human cornea and sclera.(旧姓Komai)
-
初めての方でもご予約できます。
-
常勤: 新川 恭浩
(日本眼科学会認定 眼科専門医)所属学会:日本眼科学会、日本白内障屈折矯正手術学会、日本網膜硝子体学会、日本眼科手術学会
経歴 平成13年 熊本大学医学部 卒
平成14年 京都大学医学部 眼科学教室入局
平成14年 島田市立島田市民病院 勤務
平成20年 高松赤十字病院 勤務
平成22年 公益財団法人田附興風会 北野病院 勤務
平成26年10月~ 池袋サンシャイン通り眼科診療所 勤務 -
初めての方でもご予約できます。