668.眼科で処方される漢方

こんにちは。池袋サンシャイン通り眼科診療所です。
寒さも日毎に増します今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。

今週のテーマは「眼科で処方される漢方」です。

 

漢方とは
東洋医学の一種で、漢方医学の理論に基づいて処方される医薬品のことをいいます。
その起源は紀元後2世紀までさかのぼり、古代中国医学であるといわれています。
古代中国においては、複数の生薬を組み合わせることにより、ある薬理作用は強く倍増する一方で、
ある薬理作用は減衰することが発見されました。その優れた生薬の組み合わせに対し、「葛根湯」などと漢方薬命名を行い、
この知見を後世に伝えることとしたのです。しかしながら、現在日本で普及している漢方薬治療は、根源は同じであるものの、日本で独自に発展した治療法であることを付け加えなければなりません。
日本では長らく東洋医学の研究が遅れていましたが、昭和51年から漢方薬の一部が保険適応薬として収載され、
こんにちでは少しずつ処方される機会も増えてきました。


眼科で処方される漢方
内科や皮膚科だと比較的頻繫に処方される漢方ですが、眼科で処方される漢方とはどのようなものでしょうか。以下に例を挙げてみます。

 

(1)麻黄剤・・・アレルギー性結膜炎や、花粉症などに処方されることがあります。
水分代謝を良くして体の熱っぽさや痛みを発散させます。

(2)辛温発表剤・・・麦粒腫(ものもらい)に処方されることがあります。
発汗を促し、風邪、筋肉痛、炎症性疾患などを改善します。

(3)方剤・・・ぶどう膜炎罹患者のうち、ステロイドが使用できない方には治療に
おける選択肢のひとつになります。体の熱や炎症をとり、機能の亢進をしずめる働きがあります。
また離脱が困難であるステロイドと併用し、全身の調子をととのえてくれる漢方もあります。
これらの漢方に馴染みのある方はそう多くないと思いますが、これから眼科で漢方が処方されるのも徐々に一般的になっていくかもしれません。漢方の薬効は西洋医学のように病名に対して出されるのとは異なり、病状に対して出されると解釈されています。特定の症状に対して効果を発揮するというよりは、血行を良くする、水分代謝を良くするというように全身のバランスを整えるはたらきが強いお薬であると言えます。


おわりに
今週のメルマガでは「漢方薬について」というテーマで、漢方薬の起源、眼科疾患における漢方薬の使われ方を
掲載致しました。まだ日本では馴染みが薄いかもしれませんが、東洋では古くから使われてきた治療法です。
全身のバランスを整えることで気分がすっきりしたり、精神的な安定が期待できるという人もいます。
しかしながら、漢方は基本的に体力のある人向けの治療法であるということも知っておかなければなりません。
胃腸が弱い方であれば下痢、低カリウム症を引き起こすこともあります。治療の選択肢として考える際には、
慎重に判断したうえで自然の薬の力を利用したいものです。

●上記は一般的な説明です。症状が気になる方は受診の上、医師に相談してください。
●一般の方向けですので医学用語が必ずしも厳密ではありません。
●無断での記事転載はご遠慮ください。
●本文の内容は一般論の概括的記述ですので、個々人の診断治療には必ずしも当てはまりません。
※すでに治療中の方は主治医の判断を優先してください。

 

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