659.コンタクトレンズの素材の違い
こんにちは、池袋サンシャイン通り眼科診療所です。秋の爽やかで過ごし易い好季節に、皆さまはいかがお過ごしでしょうか。
今回のテーマは「コンタクトレンズの素材の違い」についてです。
目にゴミが入った際に痛みを感じた経験は誰にでもあると思います。しかしコンタクトレンズも目にとっては同じく異物のはずですが、痛みを感じないのはどうしてでしょうか。
その秘密は、レンズデザインと素材にあります。コンタクトレンズは、スポンジのように水分を含んで柔らかくなる親水性のプラスチックでできています。さらにとても薄く作られているので、目(角膜)の上に乗せると角膜形状に沿ってやさしくフィットし、角膜全体をおおうような状態になるため、痛みや異物感を感じにくくなっているのです。
そんな特徴を持つコンタクトレンズですが、素材の特徴によっていくつかの種類に分類することができます。高含水レンズ、低含水レンズ、 ヘマ素地(従来型ハイドロゲルレンズ)、シリコンハイドロゲルといった素材があります。
まず、高含水レンズ、低含水レンズといった含水率の違いについてです。
コンタクトレンズには水分が含まれています。その含水量(含水率)によって、装用時に失われる水分の蒸発量が異なり、装用感に差が出ます。蒸発した水分は目の水分(涙液)から失われるため、自分の目にあった含水率のレンズを選ぶことが、快適な装用感につながります。
高含水レンズ:レンズに含まれる水分が 50%以上
水分が多いため、瞳へ酸素が多く届きやすい
やわらかく目に馴染みやすい
水分の蒸発量が多いため、長時間の使用では乾きやすい
低含水レンズ:レンズに含まれる水分が 50%未満
水分が少ないため、瞳へ酸素が少し届きにくい
形状がしっかりして扱いやすい
水分の蒸発量が少ないため、長時間の使用でも乾きにくい
次にこれらのレンズの酸素透過率の違いについてです。
この素材の含水率は、酸素の通りやすさ(酸素透過性)と深い関係があります。
素材自体の特性は、含水率が高いほど酸素透過性は高くなりますが、これはあくまで素材単体で比較した場合のことで、実際のコンタクトレンズの酸素透過性は、含水率の他にもレンズの厚みが大きく関係しています。含水率が異なる素材で同等の強度をもつレンズの場合、高含水レンズはレンズが厚くなり、低含水レンズはレンズを薄くすることができます。つまり、上記のようにレンズは薄いレンズの酸素透過性が高くなります。
そしてヘマ素材(従来型ハイドロゲルレンズ)とシリコンハイドロゲルレンズについてです。
従来のソフトコンタクトレンズには「HEMA(ヘマ:ヒドロキシエチルメタクリレート)」というハイドロゲル素材で作られています。HEMA は水分を含ませると軟らかくなる素材で、ハードコンタクトレンズに比べて快適な装用感が得られるのがメリットです。
このレンズは、含まれる水分を介して酸素がレンズを通過し、目に酸素を届けます。酸素量が十分ではない場合、長時間の使用は目への負担が大きくなってしまいます。
シリコンハイドロゲル素材で作られたソフトコンタクトレンズは、酸素透過率値のきわめて高く、酸素が水分を介してだけではなく、直接レンズ素材を通るので、より多くの酸素を目に届けることができます。
それにより、長時間の装用でも瞳の酸素不足を防ぎ、目への負担が少ないことがメリットです。HEMA が抱える問題点を克服できる素材として注目されていますが、素材特有の硬さがあることがデメリットとして挙げられることがあります。
当院で扱いのシリコンハイドロゲルレンズ、高含水レンズ低含水レンズについて詳しくはこちらをご覧ください。
https://www.shec.jp/cl/silicon/ https://www.shec.jp/cl/uruoi/
このように素材の違いによって特徴があるコンタクトレンズは人それぞれ相性があり人によって良いレンズは変わってきます。
ご自身の相性のいいレンズを探したい場合は、当院のスタッフにぜひお問い合わせ、お声がけください。
●上記は一般的な説明です。症状が気になる方は受診の上、医師に相談してください。
●一般の方向けですので医学用語が必ずしも厳密ではありません。
●無断での記事転載はご遠慮ください。
●本文の内容は一般論の概括的記述ですので、個々人の診断治療には必ずしも当てはまりません。
●ウイルス感染症に対する当法人の取り組みについてご紹介をします。
当診療所にはアルコールを主成分とする手の消毒液を複数設置しており、ご自由にお使い頂けます。
スタッフはマスクを着用させていただき、咳が出てマスクを付けていない患者様にはマスクをお渡ししております。
当診療所および機器の消毒を徹底し、常に換気をしております。
なお当診療所は通常通り診療を行っております。
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院長: 堀 好子
(日本眼科学会認定 眼科専門医 医学博士)所属学会:日本眼科学会会員、日本眼科医会会員、日本角膜学会、 日本眼科手術学会、日本眼内レンズ屈折手術学会
経歴 昭和61年 岩手医科医学部 卒
平成2年 岩手医科大学大学院 卒平成3年 岩手県立大船渡病院 眼科医長
平成5年 岩手医科大学眼科助手
平成5年 ハーバード大学スケペンス眼研究所勤務
平成9年1月 東京歯科大学眼科勤務
平成9年6月 南青山アイクリニック勤務
平成20年 東京歯科大学市川総合病院勤務平成22年4月~ 池袋サンシャイン通り眼科診療所 管理医師就任
主な論文 The three-dimensional organization of collagen fibrils in the human cornea and sclera.(旧姓Komai)
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常勤: 新川 恭浩
(日本眼科学会認定 眼科専門医)所属学会:日本眼科学会、日本白内障屈折矯正手術学会、日本網膜硝子体学会、日本眼科手術学会
経歴 平成13年 熊本大学医学部 卒
平成14年 京都大学医学部 眼科学教室入局
平成14年 島田市立島田市民病院 勤務
平成20年 高松赤十字病院 勤務
平成22年 公益財団法人田附興風会 北野病院 勤務
平成26年10月~ 池袋サンシャイン通り眼科診療所 勤務 -
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