635.視神経疾患について

こんにちは。池袋サンシャイン通り眼科診療所です。
今回のテーマは「視神経疾患について」です。

 私たちは普段、どのようにものを見ているでしょうか。このような質問をされたとき、「目」でものを見ていると答える方も多いのではないでしょうか。しかし実は、「目」に入った光を「網膜」が受け取って電気信号に変換、その信号を「視神経」が「脳」に伝え、この情報を「脳」が認識する、というメカニズムにより、私たちはものを見ることが出来ています。また、「視神経」出口に当たる少しへこんだ部分を「視神経乳頭」といいます。

この視覚情報を脳に伝えるための通路である「視神経」は約100万本ある神経線維の集まりで、8割が視覚に関係していると言われています。ですので、この「視神経」に障害が起こると視覚情報が脳にうまく伝わらず、視野や視力に異常が生じてしまうのです。
 一口に「視神経疾患」といっても様々な疾患がありますが、ここではいくつかのものについてご紹介させていただきます。

 

・ 視神経症(炎)

視神経に何らかの障害を起こすもので、発症・進行すると急激な視力低下を引き起こすことがあります。外傷性・遺伝性等原因は様々ですが、代表的なものとしては視神経に栄養を与える血管がつまることで引き起こされる「虚血性視神経症」を挙げることが出来ます。炎症性のものについては視神経炎とも呼ばれ、文字通り視神経に炎症が起こる病気です。こちらも原因は様々ですが不明な場合も多く、「特発性視神経炎」は前述の「虚血性視神経症」と併せて視神経症の二大疾患ともいわれています。

 

・ 視神経委縮
視神経の繊維が消耗・萎縮した状態の総称です。発症すると視力や視野に影響を及ぼします。他の視神経の病気の影響や外傷等原因は様々ありますが、視神経は一度障害を受けると回復せずそれ自体を治す治療は難しいため、早期に発見し進行を防ぐことが重要です。


・ 視神経乳頭陥凹拡大
視神経乳頭の陥凹が一定以上に大きい状態のことで、緑内障を疑う所見のうちのひとつとされています。生まれつき視神経乳頭が大きく治療を必要としない場合もありますので、眼科で視野検査や網膜の厚さを測定する検査等を行い、総合的に判断することになります。


・ 乳幼児の視神経疾患
上記の疾患も含め、視神経疾患は乳幼児にも発症することがあり、「視神経低形成」をはじめとした先天性の疾患もあります。しかし、幼少期は視力な発達途上段階にあたるため、発症したかどうかの判断が難しい場合があります。また、子供の場合は成人に比べて障害の自覚・訴えが少なく発見が遅れることも少なくありません。お子様が見づらそうにしている等、日常生活で視力や視野の障害が疑われる場合はお早めにご相談ください。

 

いかがでしたでしょうか。いずれの場合についても、視神経の疾患は視力や視野の異常につながることが多く、場合によっては失明やそれに近い状態を引き起こすことがあります。
気になる症状があるときは決して自己判断はせず、少しでもご不安があれば眼科医にご相談ください。


●一般の方向けですので、医学用語は必ずしも厳密ではありません。
●無断での記事転載はご遠慮ください。
●本文の内容は一般論の概括的記述ですので、個々人の診断治療には必ずしも当てはまりません。
●既に治療中の方は主治医の判断を優先してください。

 

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