ゴールドマン視野計
中心の固視灯を見ていただいた状態で、周辺から中心へ光を近づけて、見える範囲をお調べします。
ハンフリー視野計と異なり、動いてくる光を用いて検査をするので「動的」、光の強さ・大きさを変えて感度を調べるので「量的」と表現でき、動的量的視野検査と定義されます。
ゴールドマン視野計での検査結果は疾病の診断の他、身体障害者の視覚障害による等級判定にも用いられます。
視野結果の表れ方
正常な方の視野結果
黒い部分が、見えないところです。正常な視野では、盲点のみが黒くなっています。こちらがゴールドマン視野計で測定した正常な方の右目の視野です。
一番大きく強い光の視標で耳側に約100度、鼻側に約60度、上側に約50度、下側に約75度見えている正常な大きさです。
等高線のように引かれた線はイソプター(等感度線)と言い、視標ごとの感度の限界を示します。
光が小さく弱くなるほど、イソプターは小さくなり、小さいイソプター内にある中心が最も感度が高いことがわかります。
中心より耳側約15度にある青い丸は、マリオット盲点という部分です。
マリオット盲点とは
マリオット盲点とは誰にでもある「見えないスポット」です。目の奥、網膜にある視神経乳頭にあたる部分が、視野検査を行うとマリオット盲点として検出されます。
視神経乳頭は網膜に写った像を脳に伝えるための視神経が束になって眼から脳へと向かう入り口で、視細胞が存在しません。
したがって、「マリオット盲点」と呼ばれる絶対暗点(一番強い光も感知できない部分)としてどなたにも存在する暗点として結果に表れます。
日常生活では両目で見ているので左右の眼が補い合い、片目で見る場合でも脳が補正をするので、日常でこのマリオット盲点を感じることはまずありません。
疾病ごとの視野の表れ方
疾患名 | 視野 | 視野の名称 |
---|---|---|
正常 | 正常視野 | |
加齢黄斑変性 視神経炎 中心性網膜症 |
中心暗点 | |
網膜色素変性症 | 輪状暗点 | |
緑内障 | ブエルム暗点 | |
網膜色素変性症 緑内障(末期) 心因性視覚障害 |
求心狭窄 |
上の表は疾患ごとの右目の特徴的な視野を模式的に示したものです。
このほかにも、頭蓋内に腫瘍や外傷などがあり、視覚情報を脳に伝達する視路に障害が及んでいる場合にも視野異常がみられます。
左右眼の視野欠損の形から、脳のどの位置に異変があるのかを推測することも可能です。
また、心因性視覚障害の視野異常でうずまき状の視野が検出される、らせん状視野などがあります。