ドライアイの原因
ドライアイ(角膜乾燥症、乾性角結膜炎)は、様々な要因による涙液および角結膜上皮の慢性的疾患であり、眼不快感や視機能異常を伴うものと定義されています。
空調で乾燥しがちなオフィス等で、パソコンを長時間使用している人などに発生する事が多い疾患で、ある意味現代病ともいえる疾患です。
ある調査では、オフィスワーカーの約3割がドライアイと診断され、またコンタクトレンズ使用者は特に発生頻度が高くなると言われています。コンタクトレンズ使用者の約4割が程度の差はあれドライアイだという報告もあります。
空調による乾燥や長時間のパソコン作業、睡眠不足やコンタクトレンズなど生活環境による原因が大きいのですが、近年増加しているレーシック(角膜屈折矯正手術)を受けた人もドライアイに掛かり易くなると言われています。また他の疾患や薬の影響も考えられています。
様々なドライアイの原因を分類したのが以下の表となります。
様々なドライアイの原因 | ||
---|---|---|
生活環境的要因 | 睡眠不足、ストレス、乾燥した部屋(エアコン)、コンタクトレンズの装用など | |
まばたきの減少 | パソコン、TVゲーム、細かい作業、読書、運転など | |
アイメイク |
濃いアイメイクによってドライアイが起こります。 まぶたの内側には、マイボーム腺という、目の表面の涙が蒸発しないための油が出る腺があります。 目の潤いは、ここから出る油によって保たれていますが、まつ毛の根元や粘膜にアイメークをするとマイボーム腺を塞ぎ、涙の分泌が阻害されてしまいます。ドライアイや結膜炎の原因に繋がります。 |
|
病気の影響 | 上輪部角結膜炎 | ドライアイ疾患の一つで、涙が目の表面全体に行き届かず、黒目の上部に傷が慢性的にできる症状。 |
アレルギー性結膜炎 | アレルギー性結膜炎などに罹った場合、炎症のため涙を目の表面に溜めておく事が難しくなるためドライアイを誘発しやすくなります。 逆にドライアイの人は、涙による異物に対する目の防御機能がもともと低下しているため、アレルギー性結膜炎などに罹りやすいと考えられています。 アレルギー性結膜炎に罹った事を契機にドライアイとなるケースや、軽度のドライアイだった人がアレルギー性結膜炎によって重症化するケースもあります。ドライアイとアレルギー性結膜炎などの疾病は相関関係にあると考えられています。 |
|
結膜弛緩症 | 結膜がたるんだ状態になるため異物感が強くなる他、落涙、結膜下出血が増加する。 涙液が目全体に行き渡りにくくなるため、落涙するにも係らずドライアイ症状が出る事が多い。 |
|
眼瞼痙攣 | まばたきは涙を目の表面に均一に分布させるが、まばたきの機能に異常が起こるとドライアイを併発することがある。 | |
眼類天疱瘡 | 水疱が瞼球に癒着しドライアイを併発することがある。 | |
シェーグレン症候群 | 涙腺と唾液腺の臓器特異的自己免疫疾患。 涙腺の外分泌腺の障害により、涙がでなくなる。 |
|
スティーブンス・ジョンソン症候群 | 抗生物質や解熱剤の副作用で発症し、全身にやけどのような症状が現れ、眼の結膜等の粘膜に発赤、紅斑、びらん、水疱がみられる。 | |
マイボーム腺梗塞 | マイボーム腺の機能が何らかの原因で低下し、分泌物が固体化して開口部が閉塞された状態。 | |
マイボーム腺機能不全 | マイボーム腺の開口部が閉塞されて機能不全になった状態。 | |
薬の影響 | 降圧剤や精神安定剤を服用していると涙液の分泌が少なくなる可能性があると言われています。 | |
その他 | 屈折矯正手術後(LASIK)、目が大きい(涙の蒸発が多くなるため)、加齢(加齢に伴い涙の分泌が低下するため) |
ドライアイの症状
ドライアイではさまざまな不快な症状が現れます。
通常は「眼が乾く」「眼がゴロゴロする」「眼が痛い」「光や風が眼にしみる」「眼に違和感がある」などの症状が主体です。
しかし、上記の典型的な症状以外に、「眼が疲れる」「眼がかゆい」「何となく眼が不快」「目やにが出やすい」「眼が充血しやすい」など、眼精疲労やアレルギー性結膜炎、慢性結膜炎などにも共通する症状を示すことも少なくありません。
なお、結膜弛緩症や眼瞼痙攣の場合、涙液を目全体に均等に分布させる事ができなくなるため、逆説的ですが「涙っぽい」「目が乾くのに涙がこぼれる」という症状となる場合があります。
さらに、角膜上皮障害が強くなると「眼がかすむ」などの視力障害の症状が現れてきます。
コンタクトレンズを使用中の方へ
特にコンタクトレンズをしていると、目の痛みに気付かない場合があります。
従ってコンタクトレンズ使用者は目の痛みなど特に症状がなくても、定期的に医師の診察を受けることをおすすめします。
また、ドライアイが進行すると、涙の量・バランスが崩れて目の表面の細胞がはがれ、傷ができることもあります。